
ロサンゼルス、ユニオン駅の構内。
昨日の夕方、アムトラックでロサンゼルスとニューオーリンズを結ぶ「サンセットリミテッド号」のチケットが2週間先まで売り切れていることがわかった。すべては、事前確認を怠った自分の責任。自分の詰めの甘さを自覚するには、時々このような試練が必要なのである。
「サンセットリミテッド号」はロサンゼルスとニューオーリンズ間の約2700Km結んでいる列車。 いわゆる西部劇に出てきそうな荒野や砂漠地帯を想像していたわけですが、そんなアメリカ西南部をメキシコとの国境に沿って、約48時間かけて横断している。この区間は、今回の旅行の大きな楽しみのひとつだった。その列車に乗れなくなってしまった。
今朝立てた今日の目標ー
・今日中にニューオーリンズまで行く方法を決定する。
・チケットを確実に手に入れる。
以上、2点である。
気は進まなかったが、確実なのは飛行機で行く方法。明日発の国内線のチケットを購入できるかイエローページを見て、航空会社に電話してみる。電話がかかり、受話器の向こうで受付が喋り始めたが、何をいっているのかさっぱりわからない。申し訳ないが「Sorry」といって受話器を下ろした。電話をかけながら、飛行機を使うのはできれば避けたい、という思いが消えない。
もう一度ユニオン駅に行き、サンセットリミテッド号のキャンセル待ち、他のルートでニューオーリンズに入る方法はないか、聞いてみることにする。
またまた長蛇の列に並ぶ。米国西海岸最大の都市ロサンゼルスに、アムトラックの駅はユニオン駅の一つ。しかも窓口は3つしか開けていない。これでは混むわけである。
順番が来て男性の職員にサンセットリミテッド号のキャンセルは出ていないか確認するが、やはりすべてSOLD OUTということである。シカゴ経由でニューオーリンズまで行けるという。頭の中で「シカゴといえば、たしか五大湖の近くだったはず、何日かかるんだろう」と思いながらも、それが今の流れならそれに乗ってみようと決め、空き席があるか調べてもらう。しかし、こちらも残念ながらSOLD OUTだという。
そこまで調べてもらったところで、「後ろにたくさん並んでいるから、あなたの対応はこれでおしまいね」という感じで「Next」との呼び声が。。。
駅のベンチでアムトラックの時刻表をもう一度開く。どこか見落としはないか、ローカル線でいいから、ロスとニューオーリンズを結ぶ線路がないか、調べてみる。遅めの昼は、駅の中の「ス」に入り、Wi-Fiに繋げてネット調べながら、コーヒーとサンドイッチ。そうこうしているうちに時間は過ぎていく。
もう一度行列に並び、シカゴ経由の場合の予約可能日を聞いてみることにした。それでも会話の始めは、「サンセットリミテッド号のキャンセル待ちはないか」から。すると「日曜日なら取れる」という答えが。やはり粘ってみるものである。日曜日の便を予約して、チケットを発行してもらい、なんとか今日の目標達成である。
チケットを受け取り駅構内のベンチで、ほっと一息つく。時間は、もう夕方の6時。大切なチケットをもう一度確認して、 今日はホテルに帰ってゆっくり休もう。もう何度も購入したアムトラックのチケット。出発地と目的地が明記されていることはわかっている。でも、手元のチケットのどこにも「NEW OLREANS」という文字がない。…おかしい。「NEW OLREANS」とあるべきところに見慣れない文字が。
詰めの甘さを反省したばかりである。今日だけで何度目になるだろう。また行列に並び、このチケットを発券した職員にあたるよう、うまく順番を調整。ようやくわたしの番がきた。
「さきほど発券してくれたこのチケットなんだけど、NEW OLREANS行きの
はずなのに、どこにも書いてないよ。このFlagstaffってどこ?」
「そこは、アリゾナだね」
「…で、そこで乗り換えてNEW OLREANSに行けるわけですか?」
「いや、いけないね。Flagstaff止まり。そこからはどこにも行けない」
先ほどチケットを購入する際に提示したメモ帳を見せながら
「わたしは、NEW OLREANS行きのチケットを申し込んだんですよ」
「オー、ソーリー」
それから、もう一度NEW OLREANSを調べてもらったが、やはりすべてSOLD OUT。
さすがにその職員も申し訳なさそうに
「ソーリー、ソーリー」
である。
「もういいよ、わかったから…」
6時過ぎて、振り出しに。
もうすっかり馴染みになった「ス」に入るにも、コーヒーはもう飲みたくない。もしかして、と思い「ス」に一番近い駅のベンチでPCを開いてみと、画面に扇形のアイコンがしっかり表示された。「ス」のWi-Fiはattが提供していて、安定感があることは実証済みである。これで、存分にネットにアクセスできる。
やはり飛行機しかないかな、と思い航空会社のサイトにアクセスしていろいろ調べている時に、そういえばアレを忘れているじゃないか…とひらめく。
そうだ、バスがある。グレイハウンドバスが…。「真夜中のカウボーイ」がニューヨークを目指したグレイハウンドバスが。さっそくグレイハウンドバスのサイトにアクセスして、ロサンゼルスからニューオーリンズまでを入力すると、しっかりとルートと時間、料金が表示された。よし、これで行こう。
グレイハウンドバスのロサンゼルス事務所が、24時間営業していることを確認。ユニオン駅から7ThSt駅に行き、そこから#60バスでグレイハウンドバス・ターミナルへ。バス停で、やはりグレイハウンドバスに乗るという中国から来たという大学生グループと一緒になり、お喋りしながらターミナルへ。
ターミナルでは、あっさりとグレイハウンドバスのチケットをゲット。木曜日の12時に出発して、エル・パソほか4カ所で乗り継ぎ、土曜日の朝ニューオーリンズ着。まる2日間の乗車。ルートは、「サンセットリミテッド号」と同じである。
夜10時過ぎ、ようやく本日の目標達成…長い一日だった。
・腰痛軽

ロスからニューオーリンズまでの10枚綴りのグレイハウンドバスチケット。
10枚綴りというのは、それだけ中継地点が多いということ。左下は、地球の歩き方「アメリカ南部」。