
パシフィック・サーフライナーに乗ってサンディエゴに到着。
シアトルから始まったアムトラック西海岸縦断の旅も、ここでひと区切り。
6時起床。顔を洗いシャワーを浴び、そのままメトロに乗ってユニオン駅へ向かう。今回の米国西海海岸縦断では最南端の都市となるサンディエゴには、ロサンゼルスから日帰りで出かけることにした。
ロサンゼルスからサンディエゴまでは、片道約3時間。 7時20分発のパシフィック・サーフライナーに間に合えば 10時過ぎに着く。だが、ギリギリの時間になってしまった。 車内で食べる朝食用に売店でパンを買い、そのまま列車に飛び乗る。本来であれば、USARailPassの場合でもチケットを購入(0円ですが)しなければならないのだが、それでは間に合わない。こんなときは、とりあえず乗ってしまうのが肝心。後は、「USARailPass」という印籠を見せればなんとかなるだろう。
列車が動き出してしばらくして、はたして車掌さんがやってきた。もちろんチケットの確認である。先方が言葉を発する前に、まず、こちらから「Good Morning」と声をかける。そして、おもむろに「USARailPass」を提示する。
車掌さんは、なにやら(わたしが想像するに「これはこの列車の切符ではない。切符を見せなさい」というようなことを)言っている。相手の目を見て「ここにあるUSARailPassは、あなたの会社であるアムトラックに、15日間も乗ることのできる特別な切符である。それをわたしは持っている。ほらココにね。」とテキトーな英語だか日本語だかわからない単語を繰り出して、ゆっくりと語りかけた。
すると彼は、「オレはUSARailPassなんて見るのは初めてだけど、たしかにそのようだね。わかったよ。OK。この席でいいね」のような言葉を発して去っていった。わたしの気分としては、これこそ以心伝心を絵に描いたようなシーンだった。
10時過ぎにサンディエゴに到着。サンディエゴについて知っているのは、米海軍の街であることと、先月の読書会のテキスト「思想地図β」で紹介されていたホートンプラザ(ダウンタウンの一角をショッピングモールとして再開発して成功した最初の事例だそうだ)程度。時間があれば、30キロ先のメキシコまで行きたいところだが、それほど余裕はないので、ホートンプラザを見学してフードコートでお昼を食べ、近くを散策して帰る。
夕方6時頃、ロサンゼルスのユニオン駅に到着。明日は、ロスを離れてニュオーリンズに出発。ロスーニューオーリンズ間は、今回の旅行で一番楽しみにしていたサンセットリミテッド号に乗る予定。メキシコ国境沿いの荒野(勝手に想像しているだけです)を、48時間かけて横断し、南部の街ニューオーリンズに向かうのだ。
チケットを買う人々の長い列に並び、ようやくわたしの順番がやってきた。
窓口の女性駅員さんに、
「明日出発のサンセットリミテッド号のチケット、ニューオーリンズまで1枚」
と伝えると想定外の返事が返ってきた。
「サンセットリミテッド号は、明日は出発しません。
日曜、水曜、金曜日の週3本のみです」
「えっ、そんなはずは…」
と思いつつ、頭の中の奥の方からかすかに
「そういえば、そんなことが書いてあったような…」
と小さくささやく声が聞こえる。
詰めの甘さは、こんな時に、このようにして顕在化する。
「オレらしいな…」などと、感心している場合ではない。
こうなればロスの滞在を2泊延ばして、水曜日の列車に変更するしかない。
「それでは、水曜日のチケットをください」
と伝える。パソコンをカタカタ打っていた彼女が、今度は
「水曜日の列車のチケットはソールドアウトです。
次の金曜日の列車も、日曜日も、みんなSOLD OUTですね。
2週間先なら買えますが、どうします?」
それはマズい、マズすぎる。
ホテルは、明日チェックアウトだし…。
「2週間先なら、いりません」
と、なんとか答え、駅を後にした。
線路は走っているのに、乗れないなんて…。
ニューオーリンズが、荒野が、遠くに去っていく…。
9時過ぎにホテルに帰る。とにかく寝場所だけは確保しておかなくては。
まっさきにフロントに行き、受付の男性に
「予定のチケットがとれなくて出発できない。
もう一度チケットを確保するために行動するので、明日はチェックアウトはしない。
様子次第で何泊になるかわからないけど、延泊できますか?」
と申し出る。すると彼は目の前にあるパソコンをチェックすることもなく
「It’s OK!」
と即答。
「そんなにこのホテルは、ヒマなのか…」
でも、いまとなっては、そんなホテルに感謝。
ジタバタしても始まらない。今日はもう寝よう。
・腰痛軽

アムトラックの車掌さん。駅には改札がない変りに、車掌さんが列車の搭乗口ごとに配置され、乗客のチケットを切る。アナログな方法だけど、1日数便であれば、この方法が実は効率的でコストもかからないのかもしれない。

サンディエゴのアムトラック駅Santa Fe駅。
どこの街でも駅や道路の名前は同じような名前が多い。

ロサンゼルスからサンディエゴまでは海岸線を走る。このようなビーチが続く。

海岸沿いにはずっとキャンピングカーが…。キャンプやキャンピングカーで過ごす人が多い様子。