小雨の降る夕暮れのニューヨーク。ブルックリン橋からロウアー・マンハッタンへ。


 ニューヨークでは、ちっちゃなドミトリーに宿泊している。
 部屋数は、6部屋かな。一部の部屋を除いて、基本はトイレもシャワーも洗面所も共同である。でも、一人なので全然気にならない。 慣れてしまえば、不思議と、どこも都になってしまうものですね。

 それに、みなドミトリーのルール(夜8時以降は洗濯をしない、とか、共用のコップを使用したら洗って元の場所に戻す、とか、夜10時以降にシャワーを使用する時とドライヤーを使う時は、洗面所のドアを閉める…とか)を、よく守っていらっしゃる。施設は古いが、清潔に維持管理されているので、不便は感じない。

 わたし以外も、ひとりで宿泊している客が多いようですが、慣れないのは、みなさんがとても静かで、自分から話しかける人が少ないこと。同じ小さな空間の中で、てんでバラバラに過ごしている。その緊張感漂う空気に…慣れない。

 実は、このドミトリーは スタッフが日本人で、宿泊者も日本人がほとんど(後は韓国人と、その他少々)。そんな日本人宿泊者同士は、(海外では特に)お互いに干渉したがらない?グレイハウンドバスやアムトラックの中の賑やかさが懐かしい。

 ということで、年長者であるわたくしは、つい声をかけてしまうのであります(笑)。まぁ、失うものもありませんし、リスクを負うのは年長者の役割でありましょう。

 …で、きっかけさえあれば、みなさん生気を取り戻したように話をするもの。もちろん、なかにはそうでない方もいますが、それは人それぞれ。それもアリ。

 今日もわたくしめから挨拶してみたところ、ひとりで朝食を食べていたSさん(卒業旅行で千葉から来ている大学4年生。ただいま1ヶ月間の米国旅行中)と、後からやはりひとりでやってきた、Yさん(転職が決まって新しい会社に入社するまでの間のニューヨーク美術館めぐりをしているOLさん)との会話が始まって、おふたりは「明日は、一緒に回りましょう」ということになったもよう。

 明日、おふたりが「…ところで、あのおせっかいなおじさんは、ひとりでニューヨークで何やってるんでしょうね」などと話をしていても、少しもかまわない。それよりも、あの緊張感漂う空気がすこしでも和らいでくれれば、それで十分なのであります。

 

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海野 尚史 HISASHI UNNO

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