22日の朝日新聞によると、7月に観光や仕事などで日本を訪れた外国人は100万人を突破、過去最多だったそうです。8月ではあるが、今回ソウルに向かう道中、新大阪駅から乗った九州新幹線「さくら」で隣り合わせたアメリカ人ルーディーも、観光で日本にやってきた訪日外国人の一人である。

車両の前方から歩いてきた、ゆうに100キロは越す巨体、頭髪もあごひげも金髪の大男が、
ぼくの隣の席にどっかと座った。

「やぁ、どこからきたの?」
と、一応は聞いてはみたものの、答えは明らかである。
テキサス・レンジャーズのTシャツに、頭にはカウボーイでおなじみの
テンガロンハットだからね。

「アメリカだよ。アメリカのテキサスさ」
その格好を見れば誰だってわかるよ、まちがってもニューヨーカーとは思わないさ、
とはもちろん言わない。

「そうか。テキサスから来たんだ!一人で?」
と、聞いてみる。
一人旅でないことは、綺麗な金髪女性と一緒に乗り込んできたところを
見ていたから知っていたのだけど、二人はなぜか座席が前後に別れてしまったのだ。
「いや、ぼくの“おばさん”(驚くことに彼は“おばさん”と日本語で発音した)と二人だよ」
と、ひとつ後ろの席に座っている金髪女性を紹介してくれた。

“おばさん”にしては若いしすごく美人だね。本当はどうなんだ!
とつっこみたいところだったが、
面倒な会話は避けたかったのでひかえることにした。

ルーディの本名は、ロドルフ・ホセ・モラリス・ジュニア。
じいちゃんとばあちゃんはプエルトリコからの移民なのだそうだ。
さっき“おばさん”っていったけど、日本語を知ってるの、と聞いてみると
1年前から勉強している、という。

「じいちゃんとばあちゃんとは、小さな頃からスペイン語で話していたんだ。
 それに、スペイン語と日本語は発音がすごく近いんだ。
 あ〜・い〜・う〜・え〜・お〜、か〜・き〜・く〜・け〜・こ〜」
と、五十音訓を上手に諳んじてくれた。確かに外国人にしてはきれいな発音だった。

何をやっているのか、さらにと聞いてみたところ
こうみえて(100キロは越す巨体、頭髪もあごひげも金髪の大男は年齢よりも上に見える)
ルーディーは、ダラスの大学で観光学を学ぶ大学生だった。

将来は何をしたいのか、と聞いてみると
「ホテルマンさ。俺は旅行が大好きだから」と答える。
旅行が好きならホテルマンになっちゃダメだろ、旅行に行けないぜ。きっと…。
と思ったが、目をキラキラさせながら答えるルーディーを見ていると
日本の大学生と変わらない初々しさが感じられて、
ホテルマンになるのも悪くないと思えてくる。

「そう、ホテルマンになるんだ。
 できればサンフランシスコあたりのホテルがいいな」
そんな答えを聞きながら、ルーディーっていいやつだな、と思えてきた。

日本では、東京、京都、神戸、大阪を観光してきて、これから広島に向かう途中だという。

昼時でお腹がすいてきたし、ルーディーとの会話は長くなりそうだったので、
新大阪駅で買った鯖寿司を、無理矢理にルーディーとルーディーの若いおばさんにもお裾分けした。こうすれば、ぼくも堂々とお昼を食べることができるしね。
鯖寿司は口に合うかどうかわからなかったが、ふたりともおいしそうに食べてくれた。
おばさんなどは身を乗り出して、親指を立てて“グッ”とリアクションしてくれた。
アメリカ人の、こんなサービス精神はうれしい。

…今回は、彼ら訪日外国人たちが日本滞在中に、どのように現地で観光情報を収集しているのかを書きたかったのだが、前ふりが長くなってしまった。
ということで、本題はあらためて…
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海野 尚史 HISASHI UNNO

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