ヒップな生活革命』の著者でもある佐久間裕美子さんの新刊『ピンヒールははかない』(幻冬舎)。NY、シングル、自分の人生を真剣に生きている女性たちの話。

「自由が許されるのは、自分を食わせていけることが前提」「欲しいものがあれば、欲しいと意思表示しなければ、あちらからはやってこない」と前段でおさえた上で、ひと筋縄ではいかない社会の中で頑張っている女性の姿を紹介しています。彼女たちの生き方に触れると、ダイバーシティは自明のこと、性差やワークスタイルも、各人の属性でしかないことに気づかされます。

「女性の君が、自分がどういう人生を送りたいのかをわかっていて、自分の人生の主導権を握れる。そのために勇気の必要な決断をすることができる。素晴らしいことだと思う」「大切なことは自分の道を見つけることなんだ」。これは、恋人と別れることを決めた女性に、彼女の父親がかけた言葉。

NYに暮らす著者は、日本に帰国した折に「幸せだって思われたい」という女性誌のコピーを目にして、「自分の心と付き合っていくだけでも大変なのに、その幸せが他人に紐づいているなんて、なんて恐ろしいことだろう」と思う。そうか、私たちは、他者からの承認が得られないと、自分の選択が正しいのか自信が持てないのか。

本書によれば、「シングリズム」とは「独身主義」ということではなく、独身者が社会から受ける差別を意味するのだそうです。シングル=不幸、パートナーがいる=幸せ、のような風潮はアメリカ以上に日本で強い。「私たちの周りにはたくさんの呪いがある」といった(みくりの伯母)百合の台詞が思い出されます。佐久間裕美子さんからのメッセージは「 You have to stand up for yourself. 」(自分のために戦える人になれ)。百合からは、逃げるが…?


NYセントラルパークで見かけた、公園内で挙式するカップル。参加者は総勢9名。佐久間さんによれば、公園の管理事務所に集会届けと25ドルを支払えば結婚式をあげることができることのだそうです。
肩の力を抜いて、必要があればいつでも走り出せる生き方。




肩の力を抜いて、必要があればいつでも走り出せる生き方。




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