「
杯は眠らない」は、想像が膨らむいいタイトルだと思う。文字の並びもきれいだし、ゴロもいい。鈴木真弓さんにそうお話ししたら、このタイトルは向田邦子の『眠る盃』(講談社文庫)からいただいたという。(そのあたりのことは、第1回目の「
眠る盃と小夜衣」でも触れています)
週末、体調を崩したことをこれ幸いと、ベッドの中で『眠る盃』と『向田邦子全対談』(文春文庫)を読みながら過ごす。『向田邦子全対談』は向田邦子が亡くなった後、吉行淳之介の働きかけで出版された本。山藤章二、二子山親方、谷川俊太郎、吉行淳之介、倉本聡、阿川弘之など、そうそうたる男性陣にたいする向田邦子のツッコミが小気味いい。受けて立つ対談相手たちは、きっと、そんな向田邦子に惚れたんだろうなあ、そんな気持ちがひしひしと伝わってくる。
対談に呼ばれなかった山口瞳は、『向田邦子全対談』の前書きに悔し紛れともとれるこんな一文をよせている。
「私は向田邦子さんの対談にお呼びでなかったことは有難いことだと思う。こんな女に逢ったらモミクチャにされてしまう。(いや、それとも、私なんか手玉に取って、いい気持ちにさせてくれたかな)」
「インタビューノート」しずおか地酒研究会主宰・鈴木真弓さん(2)が
公開されました。
・日刊いーしず『杯は眠らない』鈴木真弓
http://sakazuki.eshizuoka.jp
・日刊いーしず『インタビューノート』海野尚史
http://interview.eshizuoka.jp/e991908.html