「
マガジン航」にノンフィクション作家の西牟田靖氏が寄稿したコラム「
本で埋め尽くされた書斎をどうするか」を読みながら、驚き以上に恐怖を感じた。本の重量による「床抜け」は、けっして珍しいことではないのだそうだ。我が家は大丈夫か?と気になる方は「
本で床は抜けるのか」を一読することをおすすめします。
『
随筆 本が崩れる』(文春新書)の著者・草森伸一氏などは
「
…2DKにそれだけの本を詰め込むと生活に支障を来す。手前と奧に二段ずつおいても入りきらなくなり、本棚の前に「床積み」した。すると床が本で埋まってしまうため、家の中ではカニ歩きでしか移動できなくなってしまった。気をつけて歩いていても事故は多発した。袖がぶつかっただけでも本が崩れ、ときには本の山が下部からドドッと地響きを立てて、根こそぎ倒壊することすらあった」という。
死ぬまで本をため続けた草森紳一氏や井上ひさし氏の本に埋もれた暮らしぶりには驚嘆したが、今現在のぼくの心境としては徹底的な本の断捨離に取り組み始めたライターでありイラストレーターでもある内澤旬子さんの話に興味をひかれた。かつては草森氏や井上氏と同じく本に埋もれた生活をしていた内澤さんはある時期から本に嫌気がさし、今は徹底的に蔵書を売り払っている。
「
いまの家は6畳が3部屋と長い廊下。この廊下に本棚を並べられると思って借りましたが、寝る部屋には一切本を置かないので、気分的にめちゃめちゃ楽です。私は服がたためない女なので、寝る部屋は服でぐちゃぐちゃなんですよ(笑)。本は読みかけのが1、2冊あるだけ。寝る部屋には本棚もないし、床に積んだりは絶対しない。パソコンもプリンタもない。」
そんな気持ちに至った経緯に考えさせられた。自分が読んだ本、いつか読みたい本を、手元に置いておきたいという心境は、本好きに共通の感情であるように、増殖する蔵書との格闘は共通の課題である。
楽天の電子書籍端末「
コボ・タッチ」の登場で電子書籍が久しぶりに話題になりつつある。本好きが電子書籍にどんな反応を示すのか、本との格闘に終焉を迎える救世主になりえるのか。
「
日刊いーしず」の連載コラム第3弾は、Webサービスやモバイルアプリケーションの企画開発をしている大石直哉さんによる「
私たちの情報が本になる。電子書籍スタートガイド」です。本と格闘中という方には、ぜひ読んでいただきい。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
連載コラム【日刊いーしず】
・
大石直哉さんのコラム『電子書籍スタートガイド』:
第1回「本の価値から電子書籍を想像する」
・
山本ひとみさんのコラム『エクラタンな日々』:
第1回「『エクラタン』のはじまり」
・
平野斗紀子さんのコラム『「たまらん」編集余話』:
第1回 天空の里で地域学を考える