連休中に、編集者仲俣暁生さんの『
再起動(リブート)せよと雑誌はいう』(京阪神エルマガジン社)を読む。ここ数年、電子書籍や電子メディアについての論評が多かった仲俣氏による久々の雑誌論となっている。
本書の中の赤田祐一氏との編集者対談で、「雑誌がつまらなくなった、といわれて久しいし、今では、そんな話題さえ出なくなっている。あなたは、次号が待ちどおしくなるような雑誌をもっているだろうか」( 赤田祐一著『証言ポパイの時代ーある雑誌の奇妙な航海』太田出版、2002)という問いへの返答として、本書の企画が立ち上がったのだと語っている。「雑誌がつまらなくなった…」といわれ続けて、すでに10年以上も経つのですね。
あるインタビューで仲俣氏は、「橋本治さんは著書で『たまたま、その活字がつまらないだけで、活字自体の力がなくなったわけではない』ということを言いたかったのだと思っています。雑誌も全く同じで、『
雑誌がつまらなかったとしても、つまらない雑誌が多いだけで、雑誌という可能性がつまらなくなったわけではない』ということだと思うんです」と語っている。
本書の中では38の雑誌を取り上げているが、仲俣氏が一貫して伝えたかったことはそういうこと。雑誌編集者は、本書を読めば希望が感じられるのでは。雑誌を「再起動」させられるのは、雑誌編集者にほかならないしね。
仲俣さんには昨年『
Kate Paper』(下北沢のカフェ発のフリーペーパー)を送っていただいた。その『Kate Paper』も本書で取り上げられていた。
本書の楽しみに、本にまつわるコラムがある。そのなかのひとつが「書店でないとできないこと」。
ひとつは「立ち読み」。一部の電子書店でも、数ページ程を無料で読むことはできるけど「続きは有料で…」とせっつかれる。書店では、量も時間も無制限、しかも最近では、椅子まで用意されている。
二つ目は、「情報の一覧性」。仮想書店にも棚はあるけど、書店空間のもつ一覧性にはかなわない。
そして、三つ目が「待ち合わせ」ができること。「書店でなら、人と待ち合わせることも、その人と同じ本や雑誌をみながら話すことも、一緒に本を探すこともできる。そこから恋が生まれることも…」とある。
なるほど…、書店の有効活用として、三つ目のポイントが高そうだ。