週末二日をかけて、
梨木香歩の『
家守奇譚』をゆっくりと読んだ。久しぶりにいい読書、いい時間。
近しい人には「このところ物語は読んでいない」と公言していたのですが、梨木香歩という人気のある作家も、『家守奇譚』という作品もまったく知らなかった。お恥ずかしいけど…本当。ある日突然目の前に(出会い頭のようにね)人気の作家と作品が、現れて、自分の中にずっぽりと抜け落ちている世界があることに気づく。「物語」にしばらく手を出さないうちに、本当に抜け落ちている。評判になる作家や作品は、新聞の書評欄や書店でもきっと目にしているはずなのに…。
『家守奇譚』は、それほど厚い本ではなかったので「これなら1日で読めそうだな」と読み始めたのですが、最初の「サルスベリ」の章をひらいてすぐに計画変更。「この本は、ゆっくりと、できるだけ時間をかけて楽しまなくちゃ」と思い直して、居住まいも修正。ソファのクッションの位置を直し、膝掛けを用意して、そのまま数時間は本を開いていることができる体勢に。
途中からは、手元にiPadを置いて「
家守奇譚の植物アルバム」というサイトを見ながら各章の植物を写真で確かめたり、「
児童文学の境界へ 梨木香歩の世界」や「
隠し部屋2号室 梨木香歩の世界」 などにも寄り道しながら、ぐんぐんとペースを落としていく(笑)。
本当に久しぶりに物語の世界に浸かりながら、いい時間を過ごすことができた。
読み終わってから、久しぶりに碁が打ちたくなった。手ほどきしてくれる和尚が、どこかにいないものか。