近所の古書店Y遊堂の百円均一棚で、1974年と75年に
新潮社から刊行された星新一の作品集を2冊購入。

・星新一作品集7 『エヌ氏の遊園地/妄想銀行 ほか』新潮社/1974
・星新一作品集8 『人民は弱し官吏は強し』と自選エッセイ集を併せたもの/新潮社/1975

家に帰ってページをめくってみると、
どちらの本にも見返しに著者・星新一のサインがありました。

一冊は赤いサインペンで「星」とだけ、
もう一冊は黒いサインペンで「星新一」と
几帳面な字で書かれていました。

いまから30年以上も前の本ですから、パソコンでもワープロでもなく、
サインと同じ肉筆でこれらのショート・ショートが描かれたのだと思うと
サインの文字が作品の一部に見えてきます。

ご覧になられた方もいると思いますが、
わたしも昨年NHKで放送された
『星新一ショートショート劇場』で
久しぶりに星新一の世界に触れました。

あくびやくしゃみなど自分の条件反射を
企業に広告として売る『宣伝の時代』や、
(個人メディアといわれるブログなどに貼られた
 アフェリエイト広告なども似ていますね)

生存競争を避けて、平和で快適な時代を
維持するために、政府が人口調整
(無作為に抽出された人を殺していく)
を行なう社会を描いた『生活維持省』など

作品が書かれて40年以上も経ったいまのほうが、
その作品世界がリアルに感じられように思うのですが
いかがでしょう。

YouTubeで今も見ることができるので
リンクしておきます。

星新一 『宣伝の時代』
http://www.youtube.com/watch?v=a1TEESQ3HMs

星新一 『生活維持省』
http://www.youtube.com/watch?v=v3j1l_3ku-s

『宣伝の時代』の最期に主人公が語る言葉も印象的です。

「朝からさまざまな商品名を聞かされたが、
すぐ忘れてしまってなんにも記憶に残っていない。

人間の秘めている可能性ははかりしれないが、
人間の秘めている適応力のほうがもっと大きいようだ…」

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