一年前に「『広告批評』30年の区切り」でも取り上げましたが、雑誌『広告批評』が4月号で最終号となりました。社主の天野祐吉氏も、自身のブログで「餞別の味」として取り上げています。


わたしの手元にある一番古い『広告批評』は、1983年の5月号。
(83年というのは、わたしが社会人1年目)

特集は「パルコってだれだ?」。
石岡瑛子のロングインタビューのほか、「パルコとわたし」と題して、
アートディレクターの浅葉克己氏や「ほぼ日」の糸井重里氏(当時はコピーライターですね)、
そして作家の橋本治と林真理子氏にも取材しています。

1883年7・8月号では「マンガ形式による現代文化論」、
10月号「浮世床メディア論」、
11月号「生活が消えた?」、
を特集している。

こうして特集のテーマや紙面に登場している人選を振り返ってみると、
「広告批評」が初期の頃から広告の世界を幅広く定義して編集してきたことがわかります。

同時にそれは、80年代が広告が社会にたいして多くの影響を及ぼしはじめた時代背景と
重なっていた、ともいえるのでしょうね。

最終号では「クリエイティブ・シンポシオン2009」という「広告批評」のイベントを誌上再録しています。

テーマとキャスティングをいくつか紹介してみますがここからも、広告を通して社会を浮き彫りにするという
「広告批評」が一貫して取り組んできた編集方針が、

そして、編集兼発行人の島森路子氏の言葉を借りれば
「広告は時代の映し絵であり、
  人間そのものの映し絵でもある」
という編集者の強い意志が、伝わってきます。

広告批評』最終号より(一部抜粋)

・「アートとデザインのあいだ」
 佐藤可士和 × 村上隆
・「隠居は青春宣言だ」
 横尾忠則 × 一青窈 × 天野祐吉
・「ネット空間に浮遊する映像と身体」
 辻川幸一郎 × 児玉裕一 × ピエール滝
・「テレビとインターネットの未来」
 宇川尚弘 × 倉本美津留 × ひろゆき
・「私を作った広告写真」
 副田高行 × 藤井保 × 秋山具義 × 辻佐織
・「宇宙から見た女と表現」
 森本智恵 × 大宮エリー × 佐治晴夫
・「歌とボクらとコマーシャル」
 箭内道彦 × 斎藤和義
・「広告の原点にもどるということ」
 大貫卓也 × 谷山雅計 × 天野祐吉
・「ブランドは個人を表現する」
 秋山晶 × 岡康道 × 服部一成
・「意味と無意味の間で」
 谷川俊太郎 × 高橋源一郎 × イッセー尾形 × 天野祐吉

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