アフリカ・マリの女性シンガーソングライター「ROKIA TRAORE(ロキア・トラオレ)の新譜「TCHAMANTCHE(チャマンチェ)」をアマゾンで購入しようとしたところ、Shelby Lynne(シェルビィ・リン)のアルバム「Just a Little Lovin' 」を推奨される……▼アフリカ・マリの女性シンガーのアルバムと
アメリカの女性カントリー歌手のアルバムに、
女性シンガーという以外、どこに共通点があるのだろう。

「この商品を買った人はこんな商品も買っています」という、
例のお人好しなリコメンド機能に、
これまで誰にも自分の好みだと話した記憶のない
アーチスト“シェルビィ・リン”の新譜を紹介されると、
頭の中に一瞬???マークが現れる。

そういえば、2000年に出たアルバム
「アイ・アム・シェルビィ・リン」以来
彼女のアルバムは買っていない。

シェルビィ・リンの声は自分好みでもあるし、
“まっ、騙されてもいいか”という気持ちが勝り、
つい、人差し指がクリックしている(笑)。

どれだけ多くの音楽ファンが、
このリコメンドというやつにまんまと背中を押され、
人差し指がクリックさせられていることか(笑)

それにしても、アフリカとアメリカの二人の女性歌手の唐突な組み合わせに驚くとともに、
自分や他人の購買履歴などのデータの蓄積と着実な運用の積み重ねに熱心な
アマゾンのリコメンド機能には、目を見張るものがある。

ネットを活用すればするほどに、自分の欲望をかき立てるモノを、
ある意味、自分の記憶や持っている情報よりも正確に
「あなたの探しているものは、これですね!」
と差し出されることになるわけだ。

本当に「この商品を買った人は、そんな商品も買って」いるのか?
“ロキア・トラオレ「チャマンチェ」”を買った人は、
なぜ“シェルビィ・リン「Just a Little Lovin'」”も買っているのか、
確かめようはありませんが、
どちらも自分好みの素晴らしい作品であることには違いない。

購入した人の購買データ云々ではなく、
アーチストや作品そのものの共通点を探ってみたくなる。

アマゾン(以外でも)の“お人好し機能”が
ますます磨きがかった世の中で、
個人の消費行動のよりどころは、
どこに向かうのだろう。

その一方で
“出会い頭にぶつかった相手に、一目惚れしてしまう”
そんな体験も求めたくなるのは、
ユーザーのわがままでしょうか。

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海野 尚史 HISASHI UNNO

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