「ジャーナリズムの向上による民主主義の成熟」という骨太の目標を掲げている静岡県立大学ジャーナリズム公開講座。「民主主義」や「自由」は自明のもの、という価値観が揺らいでいる(ようにみえる)いま、このようなテーマについて考えてみるのは、なかなか刺激的です。また、毎回、現場第一線に身を置くジャーナリストの生の話を聞けるのも貴重です。

今年度の第1回は、『イスラム国とは何か』(旬報社)の著者でもあるジャーナリスト常岡浩介氏による「国際報道とロシアの宣伝工作」、第2回は米朝首脳会談の直前に、北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長の高英起(コウ・ヨンギ)さんによる「米朝首脳会談に向けた金正恩氏の本音」が開催されました。そして、第3回は、共同通信編集委員で、『グローバル・ジャーナリズム―国際スクープの舞台裏』(岩波新書)の著者でもある澤康臣(さわ・やすおみ)氏による「世界の極秘情報を暴いた国際調査報道記者連合」についての講義。

「パナマ文書、新たに120万件流出」と数日前に報道されたタイミングでもあり、タックスヘイブンの問題について知るいい機会となりました。澤氏の話では、日本では、所得の移転、租税回避などの「税逃れ」が注目されがちですが、それ以上に「匿名」による経済活動の危険性に着目されていました。さらに、「匿名」問題は経済活動だけでなく、日本の「匿名」報道圧力にも話題は広がり、興味深い講義でした。自分が疑問を持たず暮らしている社会は、必ずしも世界標準ではない…。

池上彰氏がコラム今朝(6月29付)の朝日新聞朝刊のコラム「新聞ななめ読み」で取り上げた『日本代表、W杯で活躍 ー あふれる「手のひら返し」は日本社会の怖さである』の背景にも、日本の匿名報道、匿名ネット社会化を垣間みる思いがします。

次回、静岡県立大学ジャーナリズム公開講座は、文藝春秋編集者・西本幸恒氏による「ノンフィクションと調査報道の現場」。こちらも楽しみです。

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静岡県立大学ジャーナリズム公開講座第3回 ー 澤康臣氏による「世界の極秘情報を暴いた国際調査報道記者連合」。




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