静岡芸術劇場で上演された「Noism(ノイズム)」の劇的舞踊『ラ・バヤデール―幻の国』を観てきました。「Noism」は、新潟市民芸術文化会館「りゅーとぴあ」の専属ダンスカンパニーで、日本で唯一の劇場専属舞踊団。新潟を拠点に、世界的な活動を展開しているそうです。

今回の『ラ・バヤデール―幻の国』は、わたしの「Noism」初体験。予備知識なしにでかけてきたのですが、舞踊家の身体、音楽、衣装、舞台美術の一つひとつの美しさに加え、それらが一体となって舞台空間に創りだす「劇的舞踊」は、オペラやバレエ、演劇とも違った、新鮮な芸術表現でした。そこに、SPACの俳優、奥野晃士、貴島豪が加わったことも、この作品に、存在感と迫力、奥行きを加えていたのではないかと思います。

上演後は、SPACの宮城聡氏と「りゅーとぴあ」舞踊部門芸術監督で演出を担当した金森穣氏との対談がありました。宮城聡氏が、演劇が“大きな物語”を扱いにくくなっているなかで、舞踊ではそれらを表現できる可能性があることにふれ、一方、金森穣氏は、抽象表現の(難しいという先入観をもたれがちな)舞踊の入口として物語の可能性を感じている…など、違う世界の第一線で活躍している創作者の頭の中の一端に触れられたような興味深い内容でした。

『ラ・バヤデール』は、舞姫と戦士の悲恋を描いた古典バレエの作品。演出は金森譲氏、脚本は平田オリザ氏。

・SPAC- 静岡県舞台芸術センター芸術総監督:宮城聡氏のインタビューノート
 http://interview.eshizuoka.jp/e1055583.html



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