「新しい建築はいらない。いまあるモノで考える」「いまある遊休化した空間資源を活用して、エリアの課題を解決し、エリア価値を高めて、持続可能なまちをつくる」。清水区役所で開催された第2回「リノベーションシンポジウム@静岡」の講師・嶋田洋平さんからのメッセージ。嶋田さんのお話を聞くのは、昨年の「リノベーション@浜松」に続いて2回目。
 嶋田洋平氏は、北九州小倉魚町と豊島区の縮小商店街を、リノベーションまちづくりによる方法で再生事業を行っている。たとえば、空き家、古いビル、空き店舗、上の階が空いたビル、ボロボロの物件、公園、道路、駐車場などなど、わたしたちの目の前にある空間を使って、新しい価値、変化、使い方を生み出そうという活動。「敷地に価値なし、エリアに価値あり」という視点で、その空間にどんなコンテンツをもってくるのか。そのアイデアを活かすカタチに器を変えるのがリノベーション。
 人口縮小社会を迎えるなかで、地方行政は戦略的な都市マネジメント政策の策定を担い、民間は自立して持続可能な事業を育て、雇用を生み、納税というカタチで地域を支える。行政と民間が互いの役割を理解し、同じ土俵にたてるかどうかが、リノベーションまちづくりの成功の鍵なのかもしれません。
 2010年からはじめたリノベーションまちづくり活動が、短期間でここまで広がってきているのは、嶋田洋平さんたち中心メンバーのリーダーシップと行動力なのだろうな、ということをお話を聞いていて感じました。いまでは、嶋田さんの事務所がある商店街の会長役も引き受けて、改革に取り組んでいるようです。建築事務所の代表に会長を任せる商店街というのも興味深い。
「敷地に価値なし、エリアに価値あり」




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