小林秀雄

『芸術新潮』2月号で「小林秀雄 美を見つめ続けた巨人」を特集している。彼は絵画や音楽の評論など幅広い芸術について語っているが、小林秀雄といえばやはり骨董は外せない。「はじまりは葱坊主」という見出しのついた見開きでは、小林秀雄が骨董にはまった記念すべき鉄絵徳利《葱坊主》の写真が大きく紹介されている。ある日、友人と知り合いの骨董屋で雑談をしている時、ふと目に入った《葱坊主》が激しく彼の所有欲を刺激し、「我ながらおかしいほど逆上して、数日前に買ったばかりの最新型のロンジンの時計と交換して持ち還った」のだそうだ。「振り返ると、どうもこの時に狐が憑いたらしい」というエピソードから骨董話に入っていくところがいい。

小林秀雄

対向ページでは、仕立てのようさそうな三つ揃えを着た小林秀雄が《絵唐津草文ぐいのみ》をいじっている。その様子は、いかにも狐が憑いているようにもみえる。そんな小林を正面で《粉引徳利「酔胡」》を無造作に扱いながら、観察するように眺めている和服姿の青山二郎の怪しさに興味が惹かれる。少し前ならこのような特集は別冊『太陽』の得意とするところだったが、最近は『芸術新潮』が頑張っている。

今年の大学入試センター試験で、国語の平均点が過去最低を記録したのは小林秀雄が原因であると話題になっていたが、小林秀雄が相手ではだれだって点を稼げない。僕らが受験生だった頃も、その難解な文章には随分と苦しめられた記憶がある。それにしても、今でも小林秀雄が出題されるとは。受験生でなくてよかった。

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