電子書籍の流通について調べていたら、電子書籍が紙の本や音楽CDなどの著作物を対象とした再販売価格維持制度の対象外の理由として、「…制度は独占禁止法の規定上「物」を対象としているのに対し、ネットワークを通じて配信される電子書籍は「物」ではなく情報として流通する」と説明されていた。「物」である紙の本は委託販売なので、在庫リスクは出版社側にあり、価格も出版社が決定権を持っている。一方電子書籍は卸売販売が主流のため在庫リスクが小売側にあり(委託販売であっても電子データなので出版社側に在庫リスクはない)、価格決定権は小売側(電子書籍ストア)にある。つまりリスクを取る者が価格を決める権利をもつと考えると、いたってシンプルでわかりやすいのだ。

なるほどと思っていたところ、昨日、文芸エージェントの大原ケイさんがブログ『本とマンハッタン』に「本の値段は誰がどうやって決めるべきなんだろう?—Who should determine the price of a book?」という記事をアップしていた。『ハエの作り方』という本に2億円の値段がついた米国キンドルのトンデモ事件にも触れている。小原さんの投稿は、いつもタイムリーなうえにわかりすく勉強になります。
『ハエの作り方』一冊2億円…本の値段


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海野 尚史 HISASHI UNNO

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