今日から開幕した
東京国際ブックフェアへ。主催者によれば、17回目の今年は過去最多の1000社、世界30カ国からの出展があるのだそうだ。出版不況が叫ばれる中で出展社が過去最高というのも不思議な感じがします。従来の出版社のブースが年々減少し、狭くなる一方で、「デジタルパブリッシングフェア」や今年から開催となった「教育ITソリューションEXPO」の出展者が増えている。
コンテンツを載せる器が、紙からデジタルメディアに急激に移っていることは、会場内のレイアウト図をみても一目瞭然。キンドルやiPadの登場で電子書籍の話題も盛り上がっていますが、今日開かれた専門セミナーでは、グーグル日本の村上社長から電子書籍販売サービス「グーグルエディション」をグーグルがスタートするという説明がありました。
「グーグルエディション」は、KindleやiPad向け電子書籍と違って、PCやスマートフォンなどWebブラウザを搭載した端末であれば購入・閲覧できる。イメージとしては、閲覧範囲が書籍全体の約20%に制限されているGoogleブックスの中から、気に入った(全部読みたい)本をGoogleエディションで購入するというサービスのよう。「グーグルエディション」が本格スタートすれば、本好きの関心は、ガジェットから電子書籍の流通プラットフォームに移るのでしょうね。
「グーグルエディション」の話を聞きながら、オープニングの基調講演での
佐野眞一氏の言葉を思い出す。
「写本からグーテンベルク、そして今、電子書籍の時代へ。その電子書籍もまたいつか新しい流通プラットフォームに取って替わられる。出版において大切なことは、ビークル(コンテンツを運ぶ乗り物)ではなく、コンテンツの中身。出版の役割は、次の時代に人を残すこと」「(出版点数だけが増え続ける状況の中で)なんでもあるが、欲しいものがないというのが今の出版界」
大局の視点に立って今の出版界の状況を語った佐野氏の話は、心に響くものがありました。会場に集まっていた1000人を超える出版業界人は、どのように受けとめたのだろう。これからどんな変化が起こるのか楽しみですね。