有料オンライン音声対談番組「ロングインタヴューズ」スタート
一部メディアでは米国の新聞・出版界におけるコンテンツ有料化の動きに注目が集まっていますが、専門家や海外ジャーナリストのブログネットワーク[メディアサボール]では、10月から有料のオンライン音声対談番組「ロングインタヴューズ」が始まりました。

・オンライン音声対談番組「ロングインタヴューズ」
http://mediasabor.jp/interview.html
・「米新聞・雑誌、電子版の有料化広がる」(NIKKEI NET)
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20090829AT2M2101028082009.html
・「新聞サイトの有料化,Newsdaysが今日から開始」(medeia pub)
http://zen.seesaa.net/article/131474307.html

コンテンツ課金の難しさが語られる中で、「ロングインタヴューズ」に有料読者がどれほど集まるのか、いまから動向が楽しみです。

月間2〜3本のインタビューを聞くために月額980円の負担は少し高いように思いますが、運営社のコメントでは「安価に提供」ということですので、このあたりはお金を負担する人と、いただく側で判断が分かれそうです。

月額980円の価格設定の採算ラインを試算してみると、1回のインタビューに2名(質問する人とされる人)を起用した場合のフィーと、録音スタッフや場所代(社内であれば実質ゼロですね)、音声の編集とサイトへのアップ作業等のコストを仮に30万円(なんの根拠もありませんのであしからず)と見積もった場合、307名ほどの有料会員があつまれば原価はペイできそうです。

プロのジャーナリストやライター、編集者、メディア関係者が集まる[メディアサボール]というサイトの性格からみれば、仕事に役立つここだけの情報であれば月額980円は払ってもいいよ、と考える読者が約300名はいるだろう、というのは現実味のある話かもしれません。

同サイトによる「ロングインタヴューズ」の企画意図を紹介しておきます。([メディアサボール]HPより抜粋)

「現代の情報化社会が抱える問題に一石を投ずるには、ネットや書籍などのテキスト情報だけでは得られない、アナログで人間的な付加価値の高い情報を提供していく必要性があるとの結論に至り、新たな音声番組プロジェクトとして「ロングインタヴューズ」をプロデュースしていくことになりました。

ネットやケータイの普及で、情報収集の方法は、検索、ニュースサイトの閲覧、ソーシャルブックマークの閲覧、SNSへの参加など多様化しています。しかし、表層的で刹那的な情報が氾濫したことにより、価値の高い本質的な情報を探し出すことは、次第に困難になりつつあり、テキストで伝えられることの限界も語られています。

情報を取得しやすい環境が整ったからといって、お手軽に手に入る情報が、ビジネスの優勝劣敗を左右したり、人生の指針となったりすることは、稀です。

ネットコミュニケーションにより横のつながりは広がったものの、縦のつながりは逆に希薄化しています。情報アクセスの指向は、自分が興味を持っている特定分野に偏りがちであり、広い視野で、多様な分野から良質な情報を抽出することは、時間をかけて能動的に目的意識を持って行動をしない限り、得にくいものであることに変わりありません…

今回、立ち上げた番組プロジェクト「ロングインタヴューズ」は、自立心と成長意欲の旺盛なビジネスパーソンに向けて、優れた見識と実績を持つ専門家やプロフェッショナルらによるトークライヴに近い醍醐味をオンラインで安価に提供しようとするものです。一般的なビジネス分野を始め、メディア、コンテンツ、カルチャーなどのジャンルで活躍されている先達を月に2?3人ゲストとして迎え、経験豊富なインタビュアーが、本質に迫るべく大胆に斬りこみます。時間は1 本の対談につき、60〜90分です」



・「フリーミアム時代のコンテンツ課金の難しさ」(日経ビジネスオンライン)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/tech/20090612/197445/

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