7月9日から東京ビッグサイトで開催されていた「東京国際ブックフェア」に出かけてきました。最近話題の電子出版については専門セミナーも開かれ、市場規模やユーザー層、電子書籍の内訳などが報告されていました。電子書籍のビューワデバイスとしての注目は、やはりアマゾンのキンドルですね。キンドルは日本国内では未発売ですが、アメリカではすでに約100万台ほど出荷され、32万タイトルの書籍が購入できるそうです。

キンドル関連情報で驚いたのは、ユーザーの中心層が50代〜60代という事実。40代以上の利用者を合わせると、なんと中高年層だけで全体の7割強を占めるのだそうです。日本ではデジタルデバイスの利用者というと、つい若者と反射的にイメージしてしまいますが、キンドルユーザー層のこの報告には驚きました……▼たしかに、アメリカという広い国では、クルマに乗って遠くの書店に読みたい本を求めて出かけるよりは(書店で探していた本が見つかる保証もありませんしね)、ネットで注文して自宅に届くのを待つほうが楽ですし、さらに、キンドルであれば、クリックして60秒待てば、お目当ての小説が1冊まるごとダウンロードできますからさらに便利。

紙の印刷物というパッケージにこだわらなければ、とても利便性の高いサービスといえます。

さらに、自分の視力に合わせて文字の拡大もできますから、高齢者ほどキンドルのようなビューワデバイスのメリットを享受できるのかもしれません。

既存の出版界の方々は、電子書籍の普及が紙の本のマーケットにどのような影響を与えるのか、気になるところだと思います。当日会場で聞いたアマゾンジャパンの書籍事業統括本部の友田雄介氏によるキンドル報告から一部紹介します。

1、キンドル購入前後で、ユーザーの紙の本の購入数は変わらない
2、キンドルユーザーの、紙の本+電子書籍の購入総数は、2.6倍に増えている
3、電子書籍の売上比率は35%に上昇している
4、キンドル上で先行販売して、その後紙の出版を検討するなど、リスクの低減&売上最大化に貢献できる

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