雑誌を成功させるなら“一番誌”を目指せ出版科学研究所がまとめた2008年の取次経由の出版物販売金額(推定)は、対前年比3.2%減の2兆177億円。4年連続で前年を下回ったようです……書籍が前年比1.6%減の8878億円、雑誌が同4.5%減の1兆1299億円。
雑誌は、11年連続の前年割れとなりました。

富士山マガジンサービスの休刊雑誌一覧によると、

「主婦の友」(主婦の友社)「BOAO」(マガジンハウス)「スタイル(Style) 」(講談社)などの女性誌から、「Lmagazine(エルマガジン)」(京阪神エルマガジン)「urma(うるま)」(三浦クリエイティブ)など地域誌、「とらばーゆ」(リクルート)などの情報誌まで、あらゆるジャンルの雑誌が並んでいます。

メディアが増えれば、単位当りのメディア接触率は下がり、
ゼロサムである個人の持ち時間(メディア接触時間)が
さまざまなメディアに再配分されるのは自然の流れ。

その点で(今までのビジネスモデルを継承し続けた場合)
既存メディアの損益分岐点比率が高くなるのは、
出版界に限らず、テレビや新聞も同様ですね。

では、雑誌もデジタル化しないと生き残れないのでしょうか。

先日、宝島社の蓮見清一社長が、
テレビのインタビューでこんなことを話していました。

宝島社は「CUTIE」「In Red」「Sweet」など、
売れている雑誌を手がけている出版社。

 雑誌を成功させようと思ったら“一番誌”を目指すこと。
 “一番誌”とは、そのジャンルで実売部数の一番多い雑誌のこと。

 広告は“一番誌”に集まってくる。
 スポンサーは“一番誌”には広告を出しますが、
 二番誌、三番誌までは予算を回せない。

宝島社のなかでも元気のいい雑誌「CUTIE」は
・部数を伸ばすために行った値下げ
・ブランドのロゴ入り付録
 (付録も読者が求めるコンテンツである)
などの施策が読者に受けて、部数増に大きく貢献したようです。

「宝島社の編集者は“付録”も(誌面同様に)編集する」
という蓮見清一社長の言葉が印象的でした。

「一番誌=実売部数の一番多い雑誌」とは、
読者に一番支持されている雑誌ということですね。

出版界に限らず、どの業界、どの商品でも
お客さま(利用者)に最も支持され続けることが
唯一不変の取り組み。

なんだか、あたりまえの話になってしまいました(笑)

「広告批評」(マドラ出版)の発行も残すは2ヶ月。
どんな終刊号になるのでしょうか。
休刊は残念ですが、終刊号は楽しみです…

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