12月8日の朝日新聞朝刊に折り込まれていた『The Asahi Shinbun GLOBE』(第5号)の見出しは「Media Meltdown 〜 メディアが溶けてゆく」……▼既存マス・メディアの役割がネットに置き換えられていく、という話はすでに新鮮さを失っていますが、

この10月に現実に米国の有力紙(http://www.csmonitor.com/)が紙から撤退しオンライン新聞に移ることを発表したり、マス・メディアを支えて来た大手スポンサーの宣伝担当者が“テレビCMを一切やらない”とインタビューに答えたり、個人が主宰するブログが広告収入で記者を雇って記事を配信しはじめたり…、

そんな事例が現実に次々と現れてくると、さすがに既存メディアに携わっている人は、“のほほん”としてはいられないはず。

フリー編集者の仲俣暁生氏も自身のブログ「海難記」で『GLOBE』の記事を取り上げています。
http://d.hatena.ne.jp/solar/searchdiary?word=%2a%5bpublishing%5d

わたしは自身もメディア全体の大きな流れについて無関心ではいられませんが、中でも気になるのは“地域メディア”への影響です。

『GLOBE』の記事では、地方紙が置かれている状況説明の中で、米国のサンフランシスコに本社をおく「クレイグリスト」(http://sfbay.craigslist.org/)というサイトを紹介しています。

この会社は社員30名弱の会社ですが、そのサイトは世界で約5000万人が利用し、閲覧数はグーグルやヤフーなどに続いて全米で6位。

「クレイグリスト」のコンテンツは「クラシファイド広告」と呼ばれる、地域の「売ります・買います」「求人情報」「不動産情報」など。

日本の場合は、それらに「訃報」情報も地方紙の大事な「クラシファイド広告」枠として加えていいと思います。

これらの広告は、大企業からの広告出稿が見込めない地方紙が、有料の広告欄として主な収益源としてきた情報です。

つまり、既存の地方紙の収益源だった「クラシファイド広告」だけを抽出したサイトですから、紙に情報を印刷して、流通させなければならない新聞に比べて収益率も高いはず。それに、情報の鮮度も勝っている。

そんな「クレイグリスト」ですから、地方紙の経営を窮地に追い込んだ悪役として指摘されてしまうことが多いのだそうです。

そんな指摘に対するバックマスターという「クレイグリスト」CEOのコメントがふるっています。

「新聞社をやっつけたいわけじゃないよ。
 技術を生かしたら、ただで便利なものができただけさ」(『GLOBE』から引用)

今度は、既存メディア側が、この反論に正面から答える必要があるのではないでしょうか。

「クレイグリスト」は、テキストだけの見るからに今風とは思えないデザインですが
このデザインについてのバックマスター氏の弁は…、

「使いやすさを追求したら、このデザインになった」

バックマスターという人物に興味がわいてきました(笑)

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