まちづくりの推進役には「よそもの・わかもの・バカものが必要」と定説のように語られます。地元の人のもっていない視線でそのまちの魅力を発見でき、しがらみや既得権益に関係なく行動できる“よそもの”、行動力や機動力、斬新なアイデア、そしてIT活用が得意な“わかもの”、そして、理解されにくい公益を目的とした活動を周囲を巻き込みながら育てていくために、自らがバカになって行動できる人。建築・都市・地域再生プロデューサーの清水義次氏が音頭をとっている「リノベーションまちづくり」事業も、「よそもの・わかもの・ばかもの」役に徹した都内の建築士などが推進役となって全国に広がっています。
熱海市、浜松市に続いて「リノベーションまちづくり」に取り組み始めた静岡市の「
リノベーションシンポジウム@静岡」の第5回目の講師は、浜松市都市整備部市街地整備課でリノベーション事業に従事している佐々木豊氏。前職のUR都市機構では、全国各地で従来型の都市開発を行ってきた経歴のひとが、「
造るだけ造って、利用されない。それでもまだ造るのか?」「
まちづくりは、よそ者がやるものなのか?」という、自分の中の違和感にたいする答えを求めて?、平成24年に浜松市役所の職員に転職。自ら浜松市の住民となり、市役所職員という二重に内側から取り組む佐々木豊氏のナマの言葉からは、カクゴと同時に手応えのようなものも伝わってきました。
「リノベーションまちづくり」を具体的にカタチにする「家守」事業の運営状況について佐々木氏に質問してみたところ、浜松市においては「家守」としての実績はなく、これからということでした。ただ、始めることも大変だが、事業継続はもっと難しい、とも。全国の「家守」会社の事業継続の状況が、気になるところです。
佐々木氏が取り上げた、松菱、ザザシティ、べんがら横町、有楽街、サザンクロス商店街など、郊外化、スプロール化が進んで、中心市街地の遊休不動産が目立つ浜松市の課題は、ドラッグストアやコンビニなどの大手チェーン店の出店が加速する静岡市においても他人事ではないと思います。まずは、今回の対象エリアとなっている清水駅周辺地区に、どのような再生アイデアがでてきて、どうカタチになるのか、実現できないのか、課題は何か、など、他人事にしないように
見守っていきたいと思います。