「希望塾」(東京タイプ ディレクターズ クラブ)でキャップの藤本やすし氏が制作中と話していた本『雑誌をデザインする人と現場とセンスの秘密 』がピエ・ブックスからようやく出版されました。
これは『雑誌をデザインする集団キャップ』(ピエ・ブックス)に続く藤本やすし編集本の第2弾。日本の雑誌デザインに影響を与えた伝説の20誌を取り上げ、デザイナーや編集者のインタビューと紙面デザインを紹介しています。インタビューは、藤本やすし自身。取材は原則としてデザイナーの仕事場で行われているため、それぞれの雑誌デザインが生まれた環境を垣間見ることができます。個人的には、そこが一番興味深かった。
「暮らしの手帖」「Esquire日本版」「POPEYE」「SWITCH」「STUDIO VOICE」他、日本のエディトリアルデザイン、雑誌やデザインの流行なども分かり、とても面白い本です。
手元にある坂川英治デザインによる「SWITCH」1988年10月号。表紙はマドンナ。巻頭特集「男が女を愛する時」には、「カラーパープル」のアリス・ウォーカーやジョージア・オキーフのインタビューが、後半に村上春樹訳スコット・フィッツジェラルドの短編や、サム・シャパードの「モーテル・クロニクルズ」、沢木耕太郎の連載などがビッシリと載っている。
編集長の新井敏記もデザイナーの坂川英治も「とにかくあの頃は金がなかった」という創刊当時の1色刷りの頃の「SWITCH」は、取り上げる特集から人選、誌面デザインまで、いま振り返ってみても毎号こんなに濃い内容だったのかと驚いてしまう。
■目次から・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・『暮しの手帖』 花森安治
・『太 陽』 多川精一
・『PLAYBOY』 田名網敬一
・『NOW』 江島 任
・『anan』 堀内誠一
・『宝島/WonderLand』 平野甲賀
・『花椿』 中條正義
・『POPEYE』 新谷雅弘
・『MORE』 松永 真
・『写楽』 長友啓典
・『SWITCH』 坂川英治
・『Esquire日本版』 木村裕治
・『03TOKYO Calling』 駿東 宏
・『CUT』 中島英樹
・『i‐D JAPAN』 タイクーン・グラフィックス
・『WIRED日本版』 佐藤直樹
・『ku:nel』 有山達也