昨日は、4月に入社した新卒メンバー3名と第1回目の新卒読書会を開いた。今年は、新卒組が社内にも声をかけて、先輩社員の参加者も募ることにした。いろいろな経験のあるメンバーが参加すれば、1冊の本を素材にして、様々な意見や考え方を共有できるからね。それに、新入社員と先輩社員のコミュニケーションのきっかけにもなるかなと。

…ということで、第1回目の読書会は、新入社員の稲葉さん、大石さん、内藤くんに加えて、企画営業課の矢崎さん、スクール担当の太田さん、そして中途入社の酒井さんという顔ぶれとなった。

ファシリテイター役の内藤君の進行ぶりは落ち着いたもので、第1回目としては上出来な読書会になったと思う。稲葉さんの用意してくれたワークシートは、参加者の意見を引き出し、議論を深めるうえでとても効果的だった。大石さんや酒井さんの「今までで一番不安に思ったこと」「その時に、どう取り組んだか」を共有できたのもよかった。それに矢崎さんや太田さんの、自分自身の経験からの発言は、新卒のメンバーには説得力があったのではないかと思う。次回の新卒読書会が、いまから楽しみである。

小さく賭けろ!
今回読書会で使用したテキストは、『小さく賭けろ!―世界を変えた人と組織の成功の秘密』(ピーター・シムズ、日経BP)。

一部の天才を除いて多くのイノベーターは、試行錯誤を繰り返しながら、徐々にブレークスルーを発見していく。失敗や挫折を恐れずに、執拗に努力する。それは、わたしたちが新しいことに取り組む時に、まず「何を知らないか」事体を知らないし、やってみなければわからない…、ということでもある。

標的が未知(状況が流動的、不確実)の場合は、細かな計画を立てる変わりに、すばやく小さな賭け(失敗=学習)を繰り返すことのほうが有効である

…ということですね。そのようなことを事例を交えて紹介している一冊である。

「ほとんどの成功した起業家は、素晴らしいアイデアを発見してから起業したわけではない。あのGoogleの創業者ラリー・ペイジとサーゲイ・ブリンでさえも、巨大企業を作るとかウェブ上の情報検索に革命を起こそうとしたわけではなく、スタンフォード大学のデジタル・ライブラリ・プロジェクトの協力者として、図書館のオンライン書籍検索で検索結果表示の優先順位をいかに決めるかという、ささやかな問題の解決からスタートしている。そこから“ページ・ランク・アルゴリズム”が誕生したのだ。

ただし、その時点ではGoogleがいかにして収益を確保するかについて、ブレークスルーはみえていなかった。ゴーツー(後のオーバーチュア)のアイデアを借用してアドワーズを開発し、結果として今に至ったというわけだ。つまり走りながら、それを発見していった」(本書より一部抜粋)

本書の中で、ピクサーの事例も取り上げられている。創業時のピクサーは、アニメーションを制作することが本業ではなく、コンピュータグラフィックス製作用の専用コンピュータを販売する会社だった。そのコンピュータを販売するためのプロモーション映像として作成された赤ちゃんランプの「ルクソー・ジュニア」の映像から、トイ・ストーリーにつながる成功が始まった。

本書を読みながら、2006年に開催されたピクサー展 〜『トイ・ストーリー』から最新作『カーズ』まで〜」会場で見た「ルクソー・ジュニア」を思い出した。稲葉さん、大石さん、内藤君にも、将来、ジョン・ラセターやエド・キャットムルになり得る可能性がある。そのためにも、まずは失敗を恐れずに「小さな賭け」を繰り返してほしい。

ピクサーについては『メイキング・オブ・ピクサー〜想像力を作った人々』(D.A.プライス著、早川書房)に詳しく描かれている。物語として読んでも楽しめるおすすめの一冊。
小さく賭けろ!



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