消費社会のつぎにくる、持続可能で、将来に希望を持つことのできる新しい街があるとしたら、いったいどんな姿をしているのだろう?そこで暮らす人たちはどんな人たちで、そこでの日常の暮らしは?金融危機を経験して、東日本大震災がおこって、ぼんやりとそのようなことを考えていた頃に、雑誌の特集などで目に飛び込んできたのが、自然に恵まれた生活環境の良さや持続可能な都市として紹介されたポートランド市でした。ポートランド市は、住んでみたい街として全米でもっとも評価が高く、なかでも35歳以下の若者に人気なのだそうです。ちなみに毎週400名ほどの人が、市外(全米)から移住してくるのだとか。
では、米国の北西部の地方都市のひとつで、静岡市よりも一回り小振りなサイズのポートランド市とは、どのような街で、何が若い人たちを引きつけているのか…。そのようなことを、自分一人ではなく、できれば社員と一緒に考えてみたいと思っていたところ、『TRUE PORTLAND / 創造都市ポートランドガイド』の取材執筆を担当した自由大学の岡島悦代さんが講師を引き受けてくださり、先週、社内勉強会を開くことができました。忙しい平日の夜に東京から静岡に来て、勉強会を開催してくれた岡島さんに、あらためて感謝します。
2時間の勉強会の前半は、ポートランド市の紹介、後半はワークショップ。ポートランド市を繰り返し訪問している岡島悦代さんの言葉の端々から、街の魅力、そこに暮らす個性あふれる人たちと、彼らの生きる姿勢のようなものが伝わってきました。いろいろな考え方の人が集まり共棲する多様性、ないものは自分でつくろうとするDIY精神、市民参加による街づくり、アートや文化に対する意識の高さ、拡大することを善しとしない価値観などなど、自立した個人が集まって主体的に地域コミュニティーに参加している街…、そのようなイメージでしょうか。
ここ(ポートランド市)に来なければ体験することのできない料理やサービスにこだわる飲食店や小売店の個人経営者たちが、街の個性の一部となり、(ナショナル・チェーンではなく)そのような地元の店を消費というカタチで応援する(票を投じる)市民の姿。日常の暮らしのなかで、地元第一主義(ローカル・ファースト)が実践されているようです。
今日2月22日で、しずおかオンラインは創立23年目を迎えます。23年前の1993年といえば、バブルが終焉し、ウェブブラウザー『モザイク』がリリースされた年。その後、インターネットやITの発展、スマートフォンなど新しいデバイスの登場によってメディアのカタチや状況はずいぶんと変わりました。しかし、どんなに環境が変わっても、自分の暮らす身近な地域情報を知りたいという気持ちは、これからも変わらないのではないでしょうか。持続可能な街、将来に希望を持って暮らすことができる街においては、これまで以上に地域に対する関心が高まるのではないかと思います。
静岡市や浜松市、富士、沼津、三島市、そして愛知県の三河地域など、わたしたちがサービスを提供させていただいている地元が、今月の勉強会で学んだポートランド市に負けない魅力あふれる街になる、そんなお手伝いを地元第一主義(ローカル・ファースト)の姿勢で社員全員で取り組んでいきたいと思います。