しずおかオンライングループでは「新卒採用」のほか、「経験者」も募集しています。今日は、企画営業にご応募してくれた方と面接。面接はお見合いのようなもの。お互いにとっていい出会いになれば、と期待して、毎回面接に臨んでいます。

面接の際に「将来募集職種以外の仕事に興味を持った場合、異動することはできますか?」という質問を受けることがよくあります。本人の気持ちは理解できます。わたしの答えは、

「3年間は採用された職種で力を発揮してください。まずは、仕事を覚え、業界、会社を理解すること。その上で希望する部署に異動できるかは、あなたの仕事ぶり次第です」

中途入社に限らず、新卒入社の社員も、複数の部署(仲間と)で、いろいろな仕事を経験する機会を用意したいと考えています。本人も気づかなかった発見や才能が顕在化する機会が増えるはず。

本来であれば、社員の育成をきちんと織り込んで、計画的に異動できる組織運営が理想です。多くの経営者は、同じ意見だと思います。でも実際は、現場の事情が優先されてしまうのが実情。とくに中小企業においては。

そんな中で、自分の希望を叶える一番の方法は、普段の仕事ぶりの中で他部署から「あいつが(彼女が)欲しい」と思わせることが一番の近道ではないでしょうか。

この春、ダルビッュ投手が大リーグに移籍しますね。プロ野球の選手もわたしたちも、「その道のプロ」として働いていることに変わりありません。米国の球団から、高額の移籍金を負担しても「彼が欲しい」とダルビッシュ投手が評価されたように、わたしたちも周囲の仲間(他部署)から認められる仕事をしたいもの。

以前からわたしが「こんな制度があったらいいかな」と思っているのが、しずおかオンライングループ内での「フリーエージェント制度」。3年以上同一部署(業務)に従事、直近の年間目標をクリア…などの一定の基準(基準は未定)を達成した人が、自由契約の権利を行使できるというもの。

もちろん成立するためには、受け入れる側の評価、「彼(彼女)が欲しい」と手を挙げてくれることが不可欠。移籍金の変わりに、現在の部署の「売上げ目標」の一部を持参金とするのはどうでしょうか。フリーエージェントが難しければ、ドラフト制度は?どんな方法であれ、社員がいろいろな仕事を経験する機会は増やしていきたい。

しずおかオンライングループでは、新卒採用のほか、経験者も募集しています。興味のある方は、企業HPの採用ページをご覧ください。



思い出の香り

  • 2012年01月29日
  • womo
昨日は、調香師の新間美也さんが、「ならいごとjp」さんのセミナーでお話されるということで「あざれあ」へ。新間さんのエッセイ『パリのレッスン』『恋は香水から始まる』を久しぶりに読み返しながら会場へと向かう。 新間さんとお合いするのは、『womo』のインタビュー以来なので約5年ぶりか。 会場には参加者が60名程、うち男性は4名。

今日のテーマは、「パフュームの魔法」。香水を作る仕事は、作曲に似ている。ローズの香りはドレミの「ド」、すずらんは「レ」、ジャスミンは「ミ」…のように、ひとつの香りがひとつの音となって重なりあって和音を作り、第1楽章、第2楽章のように作っていく…のだそう。「調香」とは「作曲」という例えが、とても新鮮。そして、数ある香りは記憶と一緒に覚える、ということに、なるほど、と思う。

講演の後半は、ワークショップ。最新刊『香水のゴールデンルール』(原書房)で紹介されている香水の中から、参加者と一緒に「思い出の香り」を作るというもの。新間さんに指名された参加者が前に出て、香りを確かめながら、香料をスポイトで小さなガラスの容器に加えていく。会場のほとんどは女性。男性が指名されることはないだろうと見物気分で楽しんでいたところ、「次は、前から3列目の方、そう、あなたです」と指名されてしまった。

こころの準備もできないままに新間さんの隣に立ち、新間さんに指示された香料を小さなガラス瓶に入れようとしたところ、緊張した手が滑って香料をこぼしてしまった。これでは、香水が別の香りになってしまう。

「すみません。外してしまいました」というわたしの声に、会場からは笑いが。「あははは、どうしましょう。でも、大丈夫。どんな香りになるか楽しみですね。それこそ思い出の香りかな」と、新間さんにやさしくフォローしていただいた。そして「おひさしぶりです」と声をかけられる。わたしのことはお見通しでの指名だったのだ。5年振り、しかもお会いするのは2回目なのに覚えていてくれたようす。セミナー終了後にお話しを聞いたところ、『womo』でのインタビューが、とても好印象だったと語ってくれた。

新間さんの生活の基盤は、パリ。日本に帰国するのは年に3回〜4回ほど。調香師でありながら社長業もかねていて、ますますお忙しそうでした。静岡出身の女性が、フランスでも数少ないという調香師として活躍していることは、同じ県民として誇らしく、そして励みになりますね。これからのご活躍も楽しみです。

わたしが想定外の調香をした「思い出の香り」は小さなガラス瓶に詰められ、会場のみなさんのお土産に。そして、わたしの手元にも。忘れられない、いい思い出になりました。



金曜日の夜といえば、人それぞれに楽しみがあるのだと思いますが、
最近のわたしといえば、昨年秋から朝日新聞の夕刊に連載が始まった
野村萬斎のコラムを読むことが金曜の夜のささやかな楽しみのひとつ。

800字にも満たないコラムですが、自身の身辺雑記にからめながら、
毎回狂言世界についての親しみやすい紹介文となっている。
狂言についてはまったく知識のないわたしでも楽しめる。

昨日は、狂言の舞台で履く「狂言足袋」について書いていた。
なぜ狂言足袋は黄色く見えるのか、の紹介に続いて、足元のお洒落の話に。
「私服では、靴や靴下の色を服の色とリンクさせる。赤い靴下を目立たせるのが流行した時期があるが、私なら首にも赤いスカーフを巻いて、統一感をもたせただろう」
という一文を読んで、赤いスカーフに赤い靴下をはいた野村萬斎を、勝手に想像してみたりする。まぁ、彼だから成立するおしゃれ…?

もうひとつ楽しみにしているコラムが、やはり朝日夕刊に連載中の
川上未映子の『おめかしの引力』。こちらは、川上未映子さんのファッション談義。
彼女のおしゃれにまつわる日常を、大阪弁のまじったテンポのいい文章で楽しく読ませてくれる。ミュージシャン、女優、 文筆家、小説家、詩人など、多才で美人な彼女と、コラムの中で紹介される関西ノリの庶民感覚いっぱいの30代女性としての彼女のギャップが新鮮。

『すごくいいもの』を着るとそれ以外見えなくなる魔法というのがあって、これが大いに問題なのだ。さらに剣呑(けんのん)なのは悪魔のささやき『ザ・日割り計算』で『一生着るんだから1回につきこれくらい、と思えば安いんやないの』という恐ろしい錯覚なのだった」という、川上未映子の『 ハイブランドの幻惑』には笑った。

主題にだけ集中し、他のことは省略する狂言で重要な小道具となる「扇」についてとりあげた野村萬斎の『エコなトランクシアター』は、ネットに動画付きでアップされている。

きょう.げん.き!!』とは、野村萬斎氏のコラムのタイトル。
「朝ドラ」「月9」「韓流」ドラマを見て、その日、その週の元気をもらう方も多いと思う。会社には、週1回のラジオ出演が毎週の楽しみ、という社員もいる。私の場合は、わずか800字ほどの「連載コラム」が「今日、元気」の源となっている。



「静女」の生活

  • 2012年01月27日
  • womo
昨日は「囲碁ガール」のことに触れましたが、「山ガール」「森ガール」「歴女」「鉄子」「カメラ女子」「釣女」など、日常を楽しむことにかけて女性に男性は到底かないません。さらに「宇(そら)ガール」(天体観測好き女子)「盆栽女子」に「落語女子」「書道ガールズ」etc…。女子に人気のアレコレはまだまだあるのでしょうが、もうわたしには思い出せません。

そんな「東京で…」「全国で…」の流行も気になりますが、私たちが一番知りたいこと、気になることは「静女」のみなさんの関心事や生活です。

昨年に続いて、今年も『womo』では、「静岡女子の生活白書」アンケートを行います。『womo』2月号(42P)または、「womoネット」をご覧いただき、ぜひアンケートにご協力をお願いします。「静岡女子」の生活白書がまとまりましたら、誌面や「womoネット」上で報告させていただきます。

「静岡女子消費白書」アンケート実施中 ▽詳細はこちら▽
   https://members.womo.jp/contact/usersindex/7

『womo』2月号が発行となりました。

『womo』副編集長 望月真希のブログでも紹介しています・・・・・
 http://fukuwomo.eshizuoka.jp/

【静岡版】
●2月号巻頭特集は「女子のおひとり」ガイド。
"ひとり時間"を有意義に過ごせるお店をご紹介!

●春のおけいこスタートキャンペーン実施中。
スクナビからの講座予約でQUOカード500円分をプレゼントします!

【浜松版】
●巻頭エリア特集は「佐鳴湖&雄踏街道特集」。
「ホワイトストリート」と「雄踏街道」の
2大注目ストリートをピックアップ。

●春のおけいこ通い応援特集。
浜松女子のおけいこ体験白書付きで
これから始める方、必見です!



しずおかオンライングループでは、1月から社員の部活を支援する制度を始めました。
現在は「フットサル部」「登山部」(社内では一番歴史がある団体。わたしも部員のひとり)が公認団体となっており、小額ですが会社から活動費が支給されることになっている。 実は昨年、制度もないのに、わたし自身もブログ上で囲碁部のメンバーをひっそりと募集したことがある。

今日はデザイナーのI君から「(SOL)囲碁部の発足はまだですか?」と声をかけられ、
浜松支社の社員からのメールには、こんながコメントが…。

 「余談ですが、囲碁ブームなんでしょうか・・・?
   http://goteki.jp/
   http://mainichi.jp/enta/igo/goteki/etc/zukan/
   http://kakaku.com/tv/channel=12/programID=561/category=book/
  昨日もテレビで取り上げていました」

 わたしからの返信…
 「もちろん!囲碁ガールは、なんといってもカッコいい。
  目下の目標は、静岡県内の囲碁ガールが参加する『womo杯』の実現!」

碁盤に向かって妙齢な女性が白と黒の石を握り、真剣な面持ちで戦う姿は美しい。
『womo杯』を実現するためには、静岡に囲碁ガールが最低2名はいなくては試合にならない。可能であれば予選も行いたい。とすると最低4名の参加者が必要か。そのハードルがどれほど高いものなのか、よくわからない。理想をいえばどこかのお洒落なホテルか、由緒ある旅館で開催したいものですが、残念ながら『womo杯』の実現はいまのところ未定。

「囲碁ガール」に限らず、「山ガール」「森ガール」「歴女」「鉄子」「カメラ女子」「釣女」など、何かの趣味に一生懸命な女性は素敵ですね。


…で、今日ブログで紹介したかったのはこちら。『静岡県のすごい産業遺産』という静岡県が発行している小冊子。昼休みに私の机の上に届いていた郵便物の中から見つけました。江戸後期から昭和初期の歴史的建造物を中心に、静岡県の近代化を支えた文化資源を紹介している。「歴女」や「工場萌え」の方だけでなく楽しめそう。伊豆の初期に作られたという落合楼の自家用水力発電所などは、いままさに必要な施設では。『静岡県のすごい産業遺産』は、無料で配布しています。

『静岡県のすごい産業遺産』送付申し込み先はこちら ↓
http://www.pref.shizuoka.jp/bunka/bk-110/sangyouisan.html

『静岡県のすごい産業遺産』掲載建造物・・・・・・・・・・・・・・・・



【1号】 2011年7月発行

旧マッケンジー邸、門池・配水塔、藤三払防波堤、落合楼発電所、芝川水系の発電所、旧王子製紙製品倉庫、旧静岡三十五銀行本店(現静岡銀行本店)、川奈ホテル、天城山隧道、安倍川橋、浜名橋、旧国鉄二俣線の施設(現天竜浜名湖鉄道)、御前埼灯台、焼津の防潮施設、旧見付学校、旧南葵文庫(現ヴィラ・デル・ソル)、静岡県庁本館、旧周智郡役所(現森町立歴史民俗資料館)、旧順天堂田中歯科医院、韮山反射炉



【2号】 2011年10月発行

旧大井上理農学研究所、社山隧道、相良油田油井、深良川発電所、旧富士製紙潤井川発電所(現王子特殊紙)、旧遠州銀行本店(現静岡銀行浜松営業部)、旧宇津ノ谷隧道、富士川橋、森村橋、大井川鐵道の施設、清水港テルファー、掛塚灯台、木和田川砂防堰堤、旧岩科学校、御真影奉安殿、静岡市役所本館、旧敷地村役場、松本医院、清水寺、凱旋紀念門 



【3号】 2011年12月発行
蓬莱橋、安居山隧道、旧清水食品事務所、大井川発電所、日本軽金属富士川第二発電所、旧宮崎製糸鷲津工場乾繭倉庫、旧浜松銀行集会所、旧庚子銀行本店、観魚洞隧道、大井川橋、鹿島橋、東海道本線の施設、清水灯台、旧掛塚郵便局、旧石神尋常小学校校舎、大日本報徳社、旧二俣町役場、旧三島測候所庁舎、旧五十嵐歯科医院、ディアナ号の錨


昨年、I君と二人で居酒屋で飲んだ時に「先日ブログに“囲碁部、部員募集”って書いてましたよね」とポツリとつぶやいた。「そうか、I君は実は入部したかったのに、切り出せなかったのか。君の気持ちに気づかなくてごめんな」と、わたしはその場で入部を約束させた経緯がある。

今日の「囲碁部の発足はまだですか?」という質問は、「いつまで部員は俺一人なんだ」という不安から口にでた言葉だったのだろうか?君の気持ちに、またしても気づかなくてすまん…。ところでI君、囲碁のルールは覚えたのか!

SOLグループの部活公認申請には、部員が3名以上必要という規約がある。囲碁部は、まだそのハードルを越えられていない。



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夕方から、アプリ開発がご専門のOさんとブランディング・コンサルタントのNさんと2回目『シェア』(レイチェル・ボッツマン、ルー・ロジャース、NHK出版)勉強会。副題は、「シェア <共有>からビジネスを生みだす新戦略」。これからのプロダクト(モノづくり)とは、サービス・システムの成功そのもの、であり、コラボ消費の現場では、生活者は(消費そのものではなく)何に参加する(しない)かによって、自分を表現する、という。そこでは、 売上げ個数ではなく、利用回数によって利益は生み出される。
コラボ的サービスの要素としてあげられている「利用の円滑さ」「サービスの複製可能性」「アクセスの多様性」「コミュニケーションの強化」は、コラボ的サービスに限らずウェブサービス全般に求められるものでしょうか。この手の本は、一人では読む通すにはなかなかハードルが高いもの。
一緒に読んで、意見を言い合える場はありがたい。



風をあつめて


溜まってしまった数年分の新聞記事のスクラップを整理しようと、午後から会社へ。郵便受けの中の封筒とはがきの束の中に、ローリン阪本氏からカードが届いていました。

それが上の写真。 風の強い丘に立つひとりの男。腰からハサミをぶらさげ、右手で何かをしっかりとつかんでいる。そのつかんだモノの下に、小さな何かが見える。それが何かはわからないけど、とにかく男は「風」をあつめているらしい。

ローリン氏の描くイラストは、空想的な物語のワンシーンのような絵が多い。登場人物は、意志の強さと同時に、どこか物憂げな表情をしている。

昔、ローリン氏と一緒に仕事をしていた事務所の壁にも氏の描いたジェイムズ・テイラーの似顔絵が飾ってあった。曲がりくねった道が続く丘の上にポツンと建つ黄色い家。その丘と家を背にしてギターを抱える直立不動のジェイムズ・テイラー。やはり彼も、物憂げな表情をしていた。

カードに描かれた男は「風をあつめて、この国を歩いていく」ことが宿命らしい。青年に成長した風の又三郎も、こんな風貌だったか。さて、これからどこに向かうのか。腰のハサミは、いつ、何に使うのか。

そんなことを想像していたら、スクラップを整理する時間が無くなってしまった。とりあえず半分まで手をつけて、今日のところは終了。残りはスキャナーで取り込んで「自炊」することにしよう。

そういえば「青空文庫」(2011年度)アクセスランキングの2位が『雨ニモマケズ』、4位が『銀河鉄道の夜』。宮沢賢治の作品は、人気が高い。『風の又三郎』は44位。1位は夏目漱石の『こころ』。




1月18日水曜日の夜、 長年「映画の街」として親しまれてきた静岡市七間町で【womo合コン】を開催しました。 当日の参加者は、20代から30代を中心に女性148名、男性140名の計288名。藤枝や島田市から参加してくれた方や転勤で静岡に来ている方など、さまざまな方が参加してくれて、とても賑やかなイベントになりました。
七間町と駒形通りにある7店の飲食店さんをはしごしながら、新たな出会いを楽しんでいただくという企画でしたが、異性との出会いはもちろんのこと、静岡市の魅力ある飲食店さんを知るきっかけや、七間町商店街を歩くきっかけにもなったとしたらうれしいですね。ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。
21日の朝日新聞静岡版でも【womo合コン】が紹介されました(写真上)。



昨日は、ビネストで開催された「サイエンスカフェ in 静岡」へ。eしずおかブログに開設していただいている「サイエンスカフェ」ブログの新しいテンプレートデザインについて、店主の理学部坂本先生とお話をすすめています。

昨日の「サイエンスカフェ in 静岡」は、はやぶさプロジェクトサイエンティスト吉川真さん。 昨年10月に観た映画「はやぶさ」を思い出しながら、時間の都合で最初の30分程だけですが吉川さんのお話を聞くことができました。吉川さんはJAXA職員で、はやぶさプロジェクトの科学チームの責任者。現在は「はやぶさ2」のプロジェクトマネジャも兼任されている。ユーモアもあって、科学者(わたしが勝手に想像してしまうステレオタイプな「科学者」=アトムを作った天馬博士のイメージ)らしからぬ雰囲気の方。

「はやぶさ」がいま宇宙のどこにいるのか、はやぶさを7年間モニターし、軌道計算したり軌道決定することがご専門。縦横1m×1.5mの「はやぶさ探査機」を、地球から60億kmも遠くにある大きさがたった500mの小惑星に着陸させ(世界初)、物質を採取し持ち帰り(世界初)、地球に帰還(月以外では世界初)させることの難しさを身をもって体験されている。

「はやぶさ」は3本の映画になったことも紹介しつつ、「これらは、みんなフィクションです」きっぱり言い切っていました。「映画の中で起こっていることは本当ですが、俳優さんたちのようにカッコよくはないし、映画のように喧々諤々やりあったりもしません。現場はもっと淡々と対処していました」とも。

さまざまなトラブルに際しての重圧と、成功したときの大きな喜びは、きっと言葉や映画では表現しきれないのでしょうね。初めて「小惑星イトカワ」を見たときの感動や、世界初に挑戦することの素晴らしさ、チームワークの大切さも語っていました。

1m×1.5mの本当に小さな「はやぶさ」や、宇宙ステーションの日本実験棟「きぼう」などの、高機能で小型化、仕上がりの美しさは特筆したい。日本メーカーの得意とする技術力(かつてのソニー製トランジスタラジオのような)は、いまでは宇宙開発の分野にも脈々と受け継がれているのですね。



[就活中の学生のみなさんへ]

「しずおかオンライン」も 2013年に向けて、新卒採用活動をスタートしています。

自社ホームページに採用ページを立ち上げたり、合同企業ガイダンスや大学主催の企業研究会に参加したり、『リクナビ』(リクルート)さんに採用情報を掲載するなど、就活中のみなさんに弊社のことをぜひ知っていただきたいと考えています。

ガイダンス会場などですでにお会いしたり、HPなどをご覧いただいた学生のみなさんは、「しずおかオンライン」という会社のことを少しは理解していただけましたか?まだ見ていないという方は、この機会にぜひご覧ください。

年末に『リクナビ』さんの「静岡の優良企業」という特集で取材を受けました。その時の記事を、『リクナビ』さんの許諾をいただきましたので、わたしのブログにも全文掲載させていただきます。

[しずおかオンライン 採用情報]
・しずおかオンラインHP採用ページ http://www.esz.co.jp/recruit/index.html
・会社紹介 https://job.rikunabi.com/2013/company/top/r673130090/
・採用情報 https://job.rikunabi.com/2013/company/employ/r673130090/
・『リクナビ』インタビューページ http://bit.ly/zI3OVn


(『リクナビ』「静岡の優良企業」インタビューより)

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地域情報とユーザーをつなぐプラットフォーム。

海野社長が創業した93年当時、専門誌のほとんどが全国誌で、地域情報の乏しさを実感していたという。「地域コンテンツを集約した情報誌があれば、読者の選択肢が広がる。他社がやらないからこそ、チャンスだと思いました」。

観光ガイドや生活情報誌を次々と出版、読者からの支持を広げていった。 

また、同社の事業展開は、時代の変化・技術革新とともに歩んでいることも特徴的だ。例えば、原稿作成から印刷までをデジタル化したDTP技術。創業当時の静岡では導入事例がほとんどなく、印刷会社との交渉からスタートしたそうだ。 



その後、98年にはインターネットの普及に伴いポータルサイトを立ち上げ、01年にはフリーマガジンを創刊。現在は、情報をいつでも入手できるよう、パソコン、モバイル、スマートフォンのあらゆるメディアにも対応している。 



「地域には伝えきれていない魅力的な情報がまだまだあります。技術革新によってメディアの形は変わっても、求められる情報を、求められる形で提供していくことは変わりません。そのために、地域に根ざした情報とユーザーをきちんとつなげるプラットフォームを用意することが、私たちの地域貢献だと考えています」。

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[事業の特徴と今後のビジョンを教えてください]

生活者が楽しく、幸せに暮らすための
魅力ある情報を届けていきます。


私たちが掲げるビジョンは「生活者に支持されるメディアNo.1」
そのために、しずおかオンライングループが一つのチームとして結束を固め、
自分たちのメディアに「愛」を持とうと話しています。

私たちは現在、多岐にわたるメディアの発行やポータルサイト運営を行っています。
複数の自社メディアにアクセスしているユーザー情報をうまくつなげていくことが、
これからのテーマです。

人口減少によってマーケットが縮小しても、消費感覚が変化しても、
人々が日々楽しく、幸せに暮らしたいと思う気持ちは変わらないはず。
魅力ある地域の情報を、ユーザーに合った形できちんと届けていくこと
にこだわっていきます。


[新入社員に期待すること]

「素直、プラス発想、即行動」。失敗もOK。

新卒の採用活動では、私は合同ガイダンスから出席するようにしています。
企業にとって人材がすべてと考えるからこそ、
できるだけ多くの学生さんに直接お会いして話をしたいのです。

当社が求める人材の資質は「素直、プラス発想、即行動」
これは社内でも明文化して、社員それぞれが意識するよう促しています。

特に新入社員には、高い目標達成意欲を持ってチャレンジしていただきたいですね。
失敗しても構いません。早く失敗できれば正しい答えにも早く近づけます。
失敗もせず、状況も変わらないのでは進歩がありませんから。


[今、会社が抱えている課題は何ですか?]

一人一人の力をもっと底上げしていきます。

企業理念の1つにも「人材育成」を掲げる当社にとって、
最大の資産は「人材」です。

「こんなことやりたいね」というアイデアを、
産みの苦しみを越えてゼロからカタチにしていく。
そこには、熱意も、人の心を動かす力も、
人をまとめあげていく人材力も求められます。

さらに、変化のスピードが速い今の時代では、
つくり上げてゴールではありません。
初めてスタートラインに立ったと言えるのです。
そこから継続していく力も大切でしょう。
社員一人一人の力をこれまで以上に
底上げしていく必要があると感じています。


[仕事をする上で大切にしていることを教えてください]

相手の言葉に耳を傾け、表現されていない気持ちを
くみ取りたい
と心がけています。

人には、言葉では表現しきれていない気持ちがあります。
お客様や社員はもちろん、会話を交わすすべての人に対して、
相手の言葉にしっかりと耳を傾けながら、
もしかしたら本人も気付いていない部分まで、
くみ取りながら応えていきたいと思っています。

そして、アクションをおこす際にはタイミングを大切に。
新商品のリリースでも、社員への言葉かけでも、
受け入れられるタイミングを逃さないこと。
そのためには、やはり、受け手となる側の気持ちをくみ取れるかどうかが、
成否を決める大きなポイントになるでしょう。




先週『eしずおかTV』が、iPhoneのユーストリーム公式サイト・トップページのおすすめ番組に選ばれました。その時の画像が上の写真。期間は短かったのですが、全国の方に『eしずおかTV』がお披露目されたと思うと、素直にうれしいです。

今日は昨年中継した『eしずおかTV』を振り返りながら、じっくりと見てしまいました。いつもは写真とテキストで拝見しているeしずおかブロガーさんの人となりが、映像と声から伝わってきて、とても身近に感じます。

『eしずおかTV』ユーストリームアーカイブ
http://www.ustream.tv/channel/eshizuoka-tv/videos

2011年5月にスタートした『eしずおかTV』の記念すべき第1回目は、『シズオカ×カンヌウィーク』のイベントでの静岡市田辺市長の中継

5月30日には『76.9FM-Hi! eしずおか探検隊』(毎週月曜日13時30分放送中)もスタート。第1回目のeしずおかブロガー「タヒチアンダンス香月さん」から、静岡大学キャンパスフェスタも含めると、12月までに34回の中継を実施、28名のeしずおかブロガーさんが登場しています。

今日の時点で視聴数の多い回は、12月5日中継の「ビーズ作家tomoyo」さんの245回と、11月28日の「川根いなり包み隊」さんの220回。

【ビーズ作家tomoyoさん】2011年12月5日中継
http://eshizuokatv.eshizuoka.jp/e825164.html
【川根いなり包み隊さん】2011年11月28日中継

http://eshizuokatv.eshizuoka.jp/e822270.html

平日はお仕事中でライブ視聴できない方も多いと思います。
そんな方にも、過去の番組をいつでも見ることのできるユーストリームは便利。

明日から『76.9FM-Hi! eしずおか探検隊』の中継が始まります。
今年もたくさんのeしずおかブロガーさんが登場します。お楽しみに。
中継は、毎週月曜日13時30分〜。
ライブ視聴できる方は、ぜひ生放送を!できない方もアーカイブでご覧ください。



叱られて

「練習不足ですね。すぐにわかるんですよ。お正月をゆっくり過ごすのはかまいません。
みなさんそうですから。でも、毎日とはいいませんが、すこしはギターに触らないと…」
2012年最初のギター教室で、 さっそくI先生に叱られる。
 
「…すみません。」と、弱々しい声で答える。心の中には、
(実は、お正月中だけではなくて、年末はベースギターの練習に忙しく、
 随分と怠けておりました。すみません…と)謝まっている自分がいる。

毎回、教室の始めにおこなう音階練習とアルペジオ(指の準備運動ですね)で
さっそくつまずいたのだ。いま、ぼくが一番怖い人が、I先生。
人に叱られることが年々減る中で、
今年もI先生からは厳しいお言葉を何度もいただくことになるだろう。
それを、まんざらでもなく思っているうちは、上達しないんだろうな。
今年のギター教室の発表会では、初めてフラメンコの曲を演奏することになっている。




ガン宣告を受けた父親の半年間にわたる“終活”記録。
娘としての自分と、監督としての自分の二つの視点で描かれた心温まるドキュメンタリー映画『エンディングノート』。
監督デビュー作となる本作品の監督砂田麻美さんに、
映画について、そして近しい人の「死」や家族について、
お話をお伺いしました。


被写体となった主演の砂田知昭さんは、砂田麻美監督の実のお父さん。
高度経済成長期を支えた企業人として、仕事柄身に付いた“段取り上手”は、
ガン宣告後も変わることなく、自身の最期を抜かりなく迎えていく。



▶ 砂田麻美さん:プロフィール
すなだ・まみ/1978年生まれ。 慶応義塾大総合政策
学部在学中から映像ドキュメンタリーを学び、卒業
後はフリーの監督助手として是枝裕和らのもと、映画
制作に従事。
主な参加作品に、『市川崑物語』(06/岩井俊二監督)、『歩いても 歩いても』(07/是枝裕和監督)、『空気人形』(09/是枝裕和監督)など。
第一回監督作品の本作で、山路ふみ子映画賞・文化賞、
報知映画賞・新人賞他国内外の賞を受賞。


(撮影:森島吉直)
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      『誰にでも訪れる最後のお話』
    『エンディングノート』砂田麻美監督に聞きました。 聞き手:海野尚史

   第1回 『こうして映画になりました』
   第2回 『生きて、やがてこの世から消える姿』
   第3回 『人間の哀しみとおかしみ』




ガン宣告を受けた父親の半年間にわたる“終活”記録。
娘としての自分と、監督としての自分の二つの視点で描かれた心温まるドキュメンタリー映画『エンディングノート』。
監督デビュー作となる本作品の監督砂田麻美さんに、
映画について、そして近しい人の「死」や家族について、
お話をお伺いしました。


被写体となった主演の砂田知昭さんは、砂田麻美監督の実のお父さん。
高度経済成長期を支えた企業人として、仕事柄身に付いた“段取り上手”は、
ガン宣告後も変わることなく、自身の最期を抜かりなく迎えていく。

(撮影:森島吉直)

▶ 砂田麻美さん:プロフィール
▶ 『エンディングノート』公式サイト:http://www.bitters.co.jp/endingnote/
▶ 『エンディングノート』上映情報:1月7日(土)〜2月3日(金)
   静岡シネギャラリー(静岡市):http://www.cine-gallery.jp/
   シネマイーラ(浜松市):http://cinemae-ra.jp/

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第3回 『人間の哀しみとおかしみ』


海野 ドバイ国際映画祭ムハ・アジアアフリカ・ドキュメンタリー部門での受賞、
   おめでとうございます。

砂田 ありがとうございます。

海野 海外での上映でも、笑いと嗚咽が聞かれたようですが…。

砂田 笑いも泣く場面も、日本も海外も変わりませんね。
   是枝監督も言われていますが
   「人間や家族の哀しみとおかしみ」
   は、本当に世界共通なんだな、と実感しました。

   宗教や家庭環境の違いはあっても、
   家族の内側にいる時には気づかないものが、

   他人の家族を通して見せられた時に、
   はじめて自分にもそういう体験があることを気づくのかな、
   と思いました。


海野 12館で封切りされた初監督作品が話題になり、
   全国で上映されるまでになりました。
   いま、お父さんに伝えたい言葉はありますか?

砂田 伝えたいことは…とくにないです。作り手の自分としては。

海野 では、娘として伝えたいことは?

砂田 …子供としては、心の中でいろいろ思うことはありますね。
   でも、それは内緒…ちょっと教えられないです(笑)


海野 エンディングにかかる「ハナレグミ」(永積崇)の
   「天国さん」という歌もよかったですね。
   映画を自然に温かく包む音楽でした。選んだのは砂田さんですか?

砂田 「ハナレグミ」さんにお願いしようと決めたのはわたしです。


海野 映像に歌が入った時にはどんな印象でした?

砂田 最初「天国さん」を聞いたときは、すごくびっくりしました。
   ハナレグミさんに楽曲の制作をお願いする以前に、
   既に「天国さん」という曲は制作されていたんです。

   新しいアルバムに入れる予定のその曲を、
   永積さんから主題歌として提案していただいて。
   最初「天国さん」を聞いたときは、


   娘としての自分にとっては
   あまりに直球の曲でしたので、
   一瞬とても驚いたんです。

   制作中、ずっと仮に入れていたハナレグミの音楽は、
   映画の内容からは距離感のある内容だったということもあって。

   ただ数回聴いているうちに、ああこれでいいのだと、
   90分間ストイックに被写体と撮影者の距離を保ってきたけど、
   最後はわたしの気持ちをこの曲に、
   永積さんに托そうと決めました。


海野 最後に静岡のお客さまにメッセージをいただけますか。

砂田 この映画には、100歳近くの方から小さな子どもまで、
   幅広い年齢の人たちが登場します。

   静岡のみなさまにも、自分をとりまく
   「これまでのこと」と、そして
   「これからのこと」にあてはめながら
   観ていただけたらうれしいです。

   たった90分の映画ですが、この映画が
   ほんの少しでも何かのお役に立てればいいなと思います。


海野 今日はありがとうございました。
   これからの砂田監督のご活躍を楽しみにしています。

砂田 ありがとうございました。
   次はフィクションを作りたいと考えています。
   これからも応援をよろしくお願いします。
 
(このインタビューは、2012年1月7日に行われました)


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         【第1回】【第2回】【第3回】

       『誰にでも訪れる最後のお話』
       『エンディングノート』砂田麻美監督に聞きました。

     第1回 『こうして映画になりました』
     第2回 『生きて、やがてこの世から消える姿』
     第3回 『人の哀しみとおかしみ』




ガン宣告を受けた父親の半年間にわたる“終活”記録。
娘としての自分と、監督としての自分の二つの視点で描かれた心温まるドキュメンタリー映画『エンディングノート』。
監督デビュー作となる本作品の監督砂田麻美さんに、
映画について、そして近しい人の「死」や家族について、
お話をお伺いしました。


被写体となった主演の砂田知昭さんは、砂田麻美監督の実のお父さん。
高度経済成長期を支えた企業人として、仕事柄身に付いた“段取り上手”は、
ガン宣告後も変わることなく、自身の最期を抜かりなく迎えていく。

(撮影:森島吉直)

▶ 砂田麻美さん:プロフィール
▶ 『エンディングノート』公式サイト:http://www.bitters.co.jp/endingnote/
▶ 『エンディングノート』上映情報:1月7日(土)〜2月3日(金)
   静岡シネギャラリー(静岡市):http://www.cine-gallery.jp/
   シネマイーラ(浜松市):http://cinemae-ra.jp/

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第2回 『生きて、やがてこの世から消える姿』


海野 『エンディングノート』というタイトルは、砂田監督のネーミングですか?

砂田 そうです。


海野 『エンディングノート』とは、人生の最期をどのように迎えたいか、
   という思いを家族や友人に伝えるためのものですね。
  「家族の死の迎え方」が、この映画のテーマと捉えていいですか?

砂田 いいえ。「終活」とか、「死を迎える準備が大事」
   などが、クローズアップされがちなんですが、
   わたし自身はそれは二次的なものだと考えています。

   たまたまわたしの父が「段取り」好きだったので、
   本人の持つたくさんの個性のうちのひとつ
   として、演出する際に取り上げたに過ぎません。


海野 映画の進行にもなっている「ToDoリスト」は?

砂田 映画の中で出てくる「ToDoリスト」を
   父が作ったとものと思われる方も多いのですが、
   あれもわたしが考えたもの。

   父が書いたものは、最後に読み上げる
   「エンディングノート」の中身だけなんです。

   その中身も、仕事の引き継ぎリストのような、
   残された人が困らないようにするための
   事務的な内容でした。
   銀行の口座だとか…ですね。

   「わたしはああしたい。死後はこうして欲しい…」
   ということは、何も書かれてはいないんです。

   ドキュメンタリーは登場する人が役者さんではないので、
   そこで語られていることは
   100%真実と捉えられがちなんですが…。


海野 観る側はドキュメンタリーの中身は真実で、
   描かれていることをそのまま信じてしまいがちです。
   「死を迎える準備」がやっぱり大切なんだ…みたいに。

砂田 わたしが描きたかったのは、そういう「段取り」
   ということではなくて、
   人の「死」はそこで途切れるものではない
   という感覚。

   それに、一人の人間がこの世の中から去っていく姿を
   自分がつぶさに見た時に、
   父親という存在を超えて、
   人間として普遍的に
   「死」をとらえた瞬間があったんです。
   とく最後の時に…。

   その時の感覚は、日常生活では
   感じたことのないほど強いものだったし、
   映像を撮り始めた頃には想像できなかったものでした。

   だからそれを、父の死後
   編集によって、ひとつのカタチにしたい
   という想いが強かった。


海野 あるインタビューで砂田さんは
   「生と死は対極にあるものではなくて、
   一本の線で繋がっているもの」

   とも答えていました。
  
   「死をとらえた瞬間」というものを、
   もう少し具体的な言葉でお話ししていただけますか?

砂田 …なんといえばいいんでしょうね。
   一生懸命に考えたときもあったんですけど…。
   …言葉では表現できないから映像
   にしたんです(笑)。


海野  なるほど(笑)。

砂田 なぜ死者というものは尊い存在なのか。
   亡くなった方を人が大事にする感覚は、
   だれかに教えられなくても多くの人の中に
   備わっているものだと思うんですね。

   それがなぜなのかということを思った。
   死ぬということは、やっぱり大変なこと。

   この映画の主役は父でしたが、
   描きたかったのは、あらゆる人の
   生きて、やがてこの世から消える姿
   そのものだった。


海野 映画の中では、お父さんとお孫さんが同じ時間を過ごすシーンや、
   お孫さんの誕生シーンも描かれていますね。
   それが、人の「死」と「生」が一本の線でつながるイメージですか。

砂田 孫がたくさん映画に出てくるので、
   「つながる」ということを人の命のことだけで
   受けとめられる方もいるかもしれませんが、
   そういうことではないと思います。

   家族でも他人でも、他者との関わりの中で
   引き継がれるものがあると思う。

   どちらかというと、亡くなった方の存在からから学ぶこと、
   受け継がれること、といったほうが近いかもしれません。


海野 記憶の中にも引き継がれるものがある?

砂田 亡くなった方との記憶も引き継がれるものの一つだと思います。
   それが良好な関係であっても、なくても。
   その人と関わったことが確実に引き継がれている。

   もしかしたら、人ではなくカタチの中に引き継がれるものもあるかもしれない。
   たとえば、わたしたちが京都に行った時に何かを感じますよね。

   それは、数百年も前にそこで生きた人たちから、
   私たちに引き継がれているものだと思います。
   引き継がれるものとは、これまで生きた人の証なのかもしれません。


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         【第1回】【第2回】【第3回】

       『誰にでも訪れる最後のお話。』
       映画『エンディングノート』砂田麻美監督に聞きました。

     第1回 『こうして映画になりました』
     第2回 『生きて、やがてこの世から消える姿』
     第3回 『人間の哀しみとおかしみ』




ガン宣告を受けた父親の半年間にわたる“終活”記録。
娘としての自分と、監督としての自分の二つの視点で描かれた心温まるドキュメンタリー映画『エンディングノート』。
監督デビュー作となる本作品の監督砂田麻美さんに、
映画について、そして近しい人の「死」や家族について、
お話をお伺いしました。


被写体となった主演の砂田知昭さんは、砂田麻美監督の実のお父さん。
高度経済成長期を支えた企業人として、仕事柄身に付いた“段取り上手”は、
ガン宣告後も変わることなく、自身の最期を抜かりなく迎えていく。

▶ 砂田麻美さん:プロフィール
▶ 『エンディングノート』公式サイト:http://www.bitters.co.jp/endingnote/
▶ 『エンディングノート』上映情報:1月7日(土)〜2月3日(金)
   静岡シネギャラリー(静岡市):http://www.cine-gallery.jp/
   シネマイーラ(浜松市):http://cinemae-ra.jp/
撮影:森島吉直
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第1回 『こうして映画が生まれました。』


海野 『エンディングノート』を観させていただきました。
   「父親の死」という大きな悲しみと同時に
   心温まる気持ちにもなりました。

砂田 ありがとうございます。

海野 最初は映画にしようと思って
   撮りはじめたわけではなかったそうですね。

   ガンの宣告を受けたお父さんを
   映画にしようと意識したきっかけは何でしたか。

砂田 強い動機があったわけではないんです。
   わたしは、小さな頃から家族の日常を、
   節目節目にカメラで追いかけることが多かった。

   ですから、ガンが発覚する以前から父を撮影していたんです。
   ガンがわかってから亡くなるまで約半年ほどあったのですが、
   最初は家族も大混乱で、撮影するとかしないとか、
   実際はそれどころではありませんでした。

   ただ、すこしずつ生活が落ち着いてきた時に、
   やっぱり最後まで父を(カメラで)追いかけるべきではないか、
   と思い始めたんです。

   一方で、娘としてそれは許されるのだろうか
   という思いもありました。

   それに、カメラを回すか回さないか、どちらがラクかと聞かれれば、
   回さない方がラクなんです。

海野 とても複雑な心境だったでしょうね。

砂田 そんな頃に、映画監督をしている友人から
   「本当に、それで後悔しないの?」と聞かれたんです。

   その友人の言葉が心にグサリときて、
   「あぁ、後悔するかもしれない」
   と、その時になって思いました。

海野 それからカメラをふたたび回し始めたんですね。

砂田 その時に、自分の中でルールを決めたんです。
   仕事として(カメラを)回せば、わたしも家族も辛くなる。

   仕事となれば「ここも撮りたい」「もっと踏み込みたい…」
   となりますから。

   それで、娘と父という家族の関係を崩さないことを
   前提に撮ることにしました。

   たまたまそこにカメラがあった時に
   「映っているものがあればそれでいい」
   そう覚悟を決めたんです。


海野 映画の中のある時期に、気持ちを切り替えた時があった。

砂田 映画の冒頭で、ナレーションの量がとても多いのですが、
   後半になって急に静かになっている。
   その変わり目が、覚悟できた時なんです。


海野 映画として撮り始めたわけではなかった映像を編集し、
   ある時期にプロデューサーの是枝監督に見てもらっていますね。

砂田 父が亡くなって3ヶ月程経った頃でした。

   撮りだめていた映像を編集したいと思い立ち、
   アップルストアに行って一番安いiMacを買ってきた。
   そして、自宅で一人で編集しはじめました。

   ナレーションも自分で吹き込んで
   ある程度まとまった頃に、身内でない人が見たら
   「これってどのように見えるんだろう」
   と思ったんです。


海野 その時は、「誰」に見て欲しかったのですか。

砂田 「誰」に見て欲しい、ということはなかったです。

   「表現したい」という気持ちがあるとすれば、
   それは自分の内側から自然に沸き上がるもの。

   作っていた時に、それを特定の誰かに見て欲しい、
   という気持ちはありませんでした。

海野 是枝監督の反応はいかがでしたか。

砂田 随分長い沈黙があった後に、是枝監督が
   
  「おもしろかった。
   …これは映画になるんじゃないの」

  
   といわれたんです。
   その時初めて「映画」という単語が、わたしの前に現れました。


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            【第1回】【第2回】【第3回】

       『誰にでも訪れる最後のお話。』
       映画『エンディングノート』砂田麻美監督に聞きました。

     第1回 『こうして映画になりました』
     第2回 『生きて、やがてこの世から消える姿』
     第3回 『人間の哀しみとおかしみ』



再起動せよ


連休中に、編集者仲俣暁生さんの『再起動(リブート)せよと雑誌はいう』(京阪神エルマガジン社)を読む。ここ数年、電子書籍や電子メディアについての論評が多かった仲俣氏による久々の雑誌論となっている。

本書の中の赤田祐一氏との編集者対談で、「雑誌がつまらなくなった、といわれて久しいし、今では、そんな話題さえ出なくなっている。あなたは、次号が待ちどおしくなるような雑誌をもっているだろうか」( 赤田祐一著『証言ポパイの時代ーある雑誌の奇妙な航海』太田出版、2002)という問いへの返答として、本書の企画が立ち上がったのだと語っている。「雑誌がつまらなくなった…」といわれ続けて、すでに10年以上も経つのですね。

あるインタビューで仲俣氏は、「橋本治さんは著書で『たまたま、その活字がつまらないだけで、活字自体の力がなくなったわけではない』ということを言いたかったのだと思っています。雑誌も全く同じで、『雑誌がつまらなかったとしても、つまらない雑誌が多いだけで、雑誌という可能性がつまらなくなったわけではない』ということだと思うんです」と語っている。

本書の中では38の雑誌を取り上げているが、仲俣氏が一貫して伝えたかったことはそういうこと。雑誌編集者は、本書を読めば希望が感じられるのでは。雑誌を「再起動」させられるのは、雑誌編集者にほかならないしね。

仲俣さんには昨年『Kate Paper』(下北沢のカフェ発のフリーペーパー)を送っていただいた。その『Kate Paper』も本書で取り上げられていた。

本書の楽しみに、本にまつわるコラムがある。そのなかのひとつが「書店でないとできないこと」。

ひとつは「立ち読み」。一部の電子書店でも、数ページ程を無料で読むことはできるけど「続きは有料で…」とせっつかれる。書店では、量も時間も無制限、しかも最近では、椅子まで用意されている。

二つ目は、「情報の一覧性」。仮想書店にも棚はあるけど、書店空間のもつ一覧性にはかなわない。

そして、三つ目が「待ち合わせ」ができること。「書店でなら、人と待ち合わせることも、その人と同じ本や雑誌をみながら話すことも、一緒に本を探すこともできる。そこから恋が生まれることも…」とある。

なるほど…、書店の有効活用として、三つ目のポイントが高そうだ。



原稿書き

昨日は終日、7日にインタビューした砂田麻美監督の原稿書き。
文字数は3,000字弱と、それほど多くはないのに、結局一日がかりになってしまった。
午前中にもう一度原稿を読み直し、砂田さんに事実確認をしていただくためにメールで送って
ようやく一段落。原稿書きがもっと好きになれたら、いいのだけど…。


1月8日(日)

ガン宣告をうけたお父さんと家族の物語を「娘」が撮り続けた
ドキュメンタリー映画『エンディングノート』。
監督した砂田麻美さんの舞台挨拶(写真:森島吉直)が、
昨日、静岡市のサールナートホールでありました。

「自分の撮った映画を見にきてくれたお客さまにお会いして
直接話ができることはとてもうれしい」と砂田麻美監督。
そのような機会は、なかなかないのだそうです。

映画監督としての自分と、「死」を間近にしたお父さんを見守る
家族としての自分の、ふたつの視点から、
どのような気持ちでこのドキュメンタリーが生まれたのか、
言葉を選びながらの話は、メディアでは紹介されていない内容もあり、
この日会場に来ていたお客さまへのお年玉になったのでは。

自分の気持ちを、言葉を選びながら
きちんとお客さまに伝えようとする姿勢から、
この映画に対する砂田麻美監督の強い想いが伝わってきました。

上映の合間に、砂田麻美監督にわたしもインタビューさせていただきました。
インタビュー記事は、近日中にわたしのブログ「うんのノート(unnote)」に
アップします。

近しい人の「死」の受けとめ方、「家族とは…」など、
砂田さんが『エンディングノート』撮影を通じてどのように感じたか、
いろいろとお話を伺いましたので、お楽しみに。

映画『エンディングノート』は、1月7日(土)から静岡シネギャラリーで上映しています。

『エンディングノート』オフィシャルサイト
 ・http://www.bitters.co.jp/endingnote/
「静岡シネギャラリー」上映情報
 ・http://sarnath2.eshizuoka.jp/



2012年1月5日は、しずおかオンラインの12回目の創立記念日。
2001年1月5日に設立し、おかげさまで12年目を迎えることとなりました。

これもひとえに、読者のみなさま、ウェブサイトのご利用者さま、お取引先のみなさま、弊社の媒体運営をサポートをいただいていますパートナーのみなさまをはじめ、地域のみなさまのご支援の賜物と、心より感謝申し上げます。

地域情報の出版社として創業しました弊社でありますが、いまでは女性向けフリーマガジン「womo」の発行、「womoビューティーヘアサロン」、「womoグルメ」、習いごと検索サイト「静岡スクナビ」、新築一戸建て家づくりサイト「静岡住まいラボ」、地域の口コミブログサイト「eずおかブログ」の運営、そして電子書籍など、常に時代の変化に適応したメディアを通じて地域情報を発信してまいりました。

弊社の企業理念「地域に根ざした情報を、求める人に、求められる形で提供する」の実現を目指し、2012年には、スマートフォンやタブレット端末など、新しいメディアを活用した情報発信にもチャレンジしていく所存です。

昨今の厳しい経済情勢の中ではありますが、お客さまに愛され、信頼され、地域社会に貢献する会社であり続けられるよう、 グループ社員一同、一層専心努力してまいります。今後とも、引き続きご指導ご鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げます。


株式会社しずおかオンライン
代表取締役社長 海野尚史



海野 尚史 HISASHI UNNO

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