2月22日、しずおかオンラインは、おかげさまで創業25周年を迎えました。「地域に根ざした情報を、求める人に、求められる形で提供する」を理念に(現在は「感動と行動を創造し、地域の暮らしに幸せな瞬間を届ける」)、ゼロから一歩を踏み出したのが1993年。振り返ってみれば、日本経済が長期低成長期に入る時期でもありました。このような経済環境の中で25年にわたり事業を継続できたことは、ひとえに、しずおかオンラインのメディアの読者やサービスのユーザー様、取引先様、パートナー様、そのほか、たくさんの地域のみなさまのお力添えの賜物とあらためて感謝いたします。

自分たち世代(創業時、わたしは32歳でした)が知りたい「地域に根ざした情報」を、自分たちが入手したい形で提供する。今からは想像しにくいと思いますが、インターネット登場以前のメディアといば、そのままテレビ・ラジオ・新聞といったマス・メディアを指していて、あつかう情報は、政治・経済・社会全般の“大きな情報”が中心。それらも大切でしたが、わたしたち世代が日常の暮らしの中で知りたいことの多くは、友人や同僚に喜んでもらえそうな飲食店の情報、自分の描くイメージをわかってくれるスタイリストのいるヘアサロン、週末に子供を連れて行きたい公園やキャンプ場などなど…。普通の暮らしの中で、ささやかでも楽しい時間を過ごす上で役立つ情報でした。しかし、そのような地域に密着した情報ほど信頼できるものを探すことは難しい現実がありました。

それ以前より、タウン誌と呼ばれるミニコミ誌的な媒体もありましたが、それらの多くは市町単位の情報で編集されていることが多く、魅力的なお店や楽しそうな場所であれば、多少遠くても積極的に出かけていく若い世代には、自分たちの行動半径と重ならないものでした。また、取り上げられる情報に世代のズレを感じたり、企画やデザインも自分たちの感覚には響かない(カッコよく思えない)。つまり、若い世代の行動半径を視野に入れた「地域」の情報を、若い世代が読みたくなる企画・デザインで提供してくれるメディアの不在がありました。

1998年、首都圏の20代女性を対象にした情報雑誌『Hanako』(マガジンハウス)が、「地域(リージョナル)」マガジンとして創刊。働く若い女性たちの活発な行動圏や消費活動をカバーする「地域」の情報を、「ケン・ドーン」の表紙イラストレーションを前面に、新しい感覚で編集された誌面が新鮮でした(タウン誌=ダサくても仕方ないという感覚があり、かつ容認されていたと思います)。翌1989年には、関西圏で「ミーツ・リージョナル」が創刊。それ以降、市町単位とは別のもっと広域の「地域」という括りの情報編集が一般的になっていきました。

その4年後の1993年、しずおかオンラインの前身のフィールドノート社という出版社を創業するにあたって、「地域に根ざした情報を、求める人に、求められる形で提供する」という理念を掲げたのは、当時のそのような動きを意識したからに違いありません。

この四半世紀は、“失われた20年”と呼ばれる時期と重なる一方で、インターネットやスマートフォンなどの新しいデバイスが次々と登場し、日常生活に欠かせないものになりました。そして、それまで「場所」にバンドルされていた「地域」の生活活動は、情報収集はもとより、レジャー、消費活動、人と人との出会いやコミュニケーションに至るまで、リアルとデジタルが複雑に並存する多層的な姿に変化してきました。この流れは始まったばかり。AIやIoTなどIT技術の本格的な発展・普及が進むこれから、大きく変わるのではないかと想像します。

大切なことは、わたしたちを取り巻く環境がどんなに変わっても、「いま、ここでの毎日を、幸せに暮らしたい」というわたしたちの願いは、いつまでも変わらないということ。そして、しずおかオンラインは、これからも変わることなく、理念として掲げる「感動と行動を創造し、地域の暮らしに幸せな瞬間を届ける」ことの実現に向けて、社員一同、取り組んでいきたいと思います。

写真は、昨日から開催されている「第1回地方創生EXPO」の会場。中央からのトップダウン、他人事っぽさを感じてしまう「地方創生」よりは、それぞれの地域が主体となった「地域創生」、そして「地域共創」で取り組んでいきたいものです。





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「対話は、それをつうじて各人が自分を超えることを希(ねが)ってなされる。相手へのリスペクト(敬意)と自己へのサスペクト(疑念)がなければ成り立たない」。「折々のことば」(鷲田 清一「朝日新聞」2月19日)で紹介されていた明治学院大学高橋源一郎氏のゼミ方針「論破禁止」について。どんな場面でも自分への「疑念」は失わないでいたいもの。

今日の同欄では、劇作家・平田オリザ氏の言葉を紹介しています。「ディベートは、話す前と後で考えが変わったほうが負け。ダイアローグは、話す前と後で考えが変わっていなければ意味がない」。「共通の足場をもたない者のあいだで試みられる」対話を成立させることは難しい。 「対話」に関する言葉が二日連続で取り上げられたのは偶然なのかもしれませんが、同欄を担当する哲学者・鷲田 清一氏の惧れとして伝わってきました。

昨日は、「シンフォニエッタ静岡」芸術監督で指揮者を務める中原朋哉氏のご自宅を訪問。「シンフォニエッタ静岡」は、静岡県を拠点に活動するプロの室内オーケストラで、今年で活動13年目になります。この13年を振り返りつつ、クラシック音楽を取り巻く環境や、静岡という地方でオーケストラを運営することの難しさなどについて、お話を伺いました。

何事についても「わかりやすさ」や「親しみやすさ」が求められる傾向にあるなかで、難しいイメージ?のつきまとうクラシック音楽を聴くことや、非日常のコンサートホールに出かけることに、興味関心を持ってもらうのはやさしいことではありません。

「音楽も絵画も、芸術鑑賞は学習することで楽しくなる」という中原朋哉さんの言葉からは、自ら知識を得ようと努力することなく、楽しいことを期待してしまう姿勢に、「それで大丈夫?」と言われている気がしました。『「ない仕事」の作り方』(みうらじゅん、文藝春秋)の中でのみうらじゅんさんの言葉を借りれば、(「いやげもの」も「天狗のお面」も)手間も時間もお金もかけて圧倒的な量を集めることで「努力して、好きになる」。

地方の文化・芸術の役割や経済的基盤にも関心が高く、静岡文化芸術大学大学院で研究も行っている中原朋哉さんの話は多岐にわたり、かつ、実際的でした。この日の内容は、3月の「インタビューノート」で紹介の予定です。

  「シンフォニエッタ静岡」の公演シーン。(写真「シンフォニエッタ静岡」)



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SPAC宮城聡演出のミヤギ能「オセロー」を観てきました。シェイクスピア劇を日本の伝統芸能「能」の手法で演じる「シェイクスピア能」を見るのは久しぶり。前回の記憶はほとんどないので比較できませんが、宮城“能”「オセロー」はいい意味でわかりやすく、「オセロー」を知らない方にも楽しめたのではないかと思います。シンプルな舞台は美しく、 SPAC作品の大きな魅力である打楽器主体の舞台音楽も、舞台を引き立てていました。




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空き家や空きビルに本体の目的とは違った用途を見出して、専門家ではない住まい手が自分なりの空間に仕立て直す。そんな空間資源の再編集が、建築を社会に開いていく。ハウスメーカーや大工工務店が生まれる近代以前の住宅から、現代に至るまでの流れを民主化というキーワードで語る『ひらかれる建築』(松村秀一、ちくま新書)は、箱としての住宅が、ようやく豊かさを実感できる暮らしの場として認識されつつあることに気づかせてくれます。写真は、昨年の暮れに出かけた、都立小金井公園の野外博物館「江戸東京たてもの園」の前川國男邸。解放感あふれる二層吹き抜けのリビングに差し込む光に心がひらかれます。






昨年3月、奈良県御所市の片上醤油さんで、土産としていただいた醤油もろみ。大豆と小麦を麹にして塩水に仕込んだもので、片上醤油さんの仕込み桶の千分の一の縮小版。小学生向けの学習雑誌『科学』の付録のようなものとお考えください。「毎日かき混ぜ続ければ、一年後には醤油になりますから」。おかみさんのその言葉を信じて、この一年間、毎朝の日課として、醤油もろみをそっとやさしく(もちろん金属製ではなく、木製のさじで)かき混ぜてきました。

“醤油もろみ”が育ってきました。」と書いたのは、昨年4月。その時は、たしかに青々しい醤油の香りがした気がしました。それが、いつの日には消え、一年を迎えるいまでは、当初の三分の一ほどに量は減り、粒度と液体は分離し、言葉ではたとえようのない香り(匂い)を発散するまでに育ちました。果たして、この液体は、もう一人前の醤油に育っているのか。まだまだ、かまってあげないといけないのでしょうか…。

それにしても、一年ものあいだ、醤油を育てる楽しみを提供してくれた醤油もろみのお土産。これを“体験型土産”と呼ぶとすれば、日本各地に、どんな体験型土産があるのかと興味が湧きます。





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キャトルエピス×クレアファーム×松坂屋静岡店×womo”のオリーブオイルショコラ。「バレンタインは自分のためのご褒美チョコを楽しむイベント」と先日書きましたが、さっそく購入して、わたしも実践してみました。オリーブオイルの滑らかさと、チョコレートのマイルドさが絶妙なバランスでした。女性はもちろんですが、男性にも喜んでいただけるのではないかと思います。

このバレンタイン限定オリーブオイルショコラ。おかげさまで好評につき、追加販売が決定しました。松坂屋静岡店8階「2018ショコラプロムナード」で限定発売中です。詳しくは 『womo2月号』をチェックしてみてください。本ページには、ソフトクリーム割引券もあります

・”キャトルエピス×クレアファーム×松坂屋静岡店×womo”のオリーブオイルショコラ
 https://womo.jp/column/detail/29643/







月曜日は、日帰りで奈良県生駒市へ。生駒市を拠点に、地域の魅力創造に取り組んでいるN社さんを訪問しました。今回は、「食と観光」をテーマに奈良の食材をアピールするイベントを手がけているFさんに、イベントの目的や運営についてお話をお伺いしました。イベントは、はなやかに映りますが、企画運営では苦労も多いようです。外部からはみえにくい現場のお話が、とても貴重でした。

Fさんの部署名は、「ローカルデザイン事業部」。自分の手がけている仕事について、熱く語ってくれたFさん。地域情報誌が、地元の魅力を発信するだけの役割から一歩踏み出して、これからは主体的に「地域の情報と人を繋げ、地域の魅力創造・元気創出を牽引していく」、そんな意思が伝わってきました。「顔の見える地域の仕事は、担当者の熱量が人を動かす」ということも、Fさんからのメッセージとして受け取りました。

N社さんのHPの言葉「スーパーローカルなプロ集団の役割はますます重要になってくる」は、わたしたちも同じ思い。しずおかオンラインでは、今年1月に「暮らしと観光編集室」を新設しました。スーパーローカルなプロ集団として、熱量を持って地域の魅力創造・元気創出に取り組んでいきたいと思います。

帰りに、1918年に開設された日本初のケーブルカーに乗って、標高642mの生駒山へ。奈良と大阪の県境にそびえる生駒山山頂の気温は、マイナス2度。残雪に包まれた静かな遊園地(冬期休業中)を抜けると、反対側には大阪市街が広がっていました。NHKの新日本風土記「生駒山」で見た、人々が救いを求めてきた「庶民の霊山」と、誰もいない遊園地の組み合わせが、不思議としっくり感じられました。




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1月最終週、駿府城公園の紅葉山庭園茶室での新春茶会。M先生による初春の茶室のしつらえ。「和敬清寂」の軸に、結び柳、そして鷽替え花入には「日光月光」の椿。初釜の床飾りについて、一つひとつM先生に教えていただき、あらためて新年らしい気分になりました。この日のお菓子は、出雲の茶銘菓「山川」と「若草」。この春から、富士山静岡空港から静岡-出雲路線が就航する。今年は、松江に出かけてみよう。




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和食だけでなく、洋食やスイーツも一緒においしく飲めるブレンド緑茶の提案「365日水出し緑茶生活」の推進に取り組んでいる「ちゃらいふ緑茶」さんが、先日来社。「ちゃらいふ緑茶」とは7種類の製法別緑茶をベースに、ハーブやドライフルーツ、野草茶、スパイスなどをブレンドした水出し緑茶。料理の種類に合わせて、味わいが深くなるようにブレンドされていると聞いて、興味がふつふつと湧きました。

ブレンド水出し緑茶の魅力を知るには、体験が一番。百聞は一飲にしかず。ということで、さっそく「ちゃらいふ」さんの事務所に伺って、ブレンド緑茶を試飲させていただきました。写真右から、ノーマル、ローズマリー、カジュアル緑茶の三種類。グリーンの色味は似ていますが、味の広がり、深さ、複雑さなど、それぞれ個性がはっきりしている。味覚音感ブログのasamiさんに解説していただきながら、ブレンド緑茶の多様な味をしっかり体験できました。

中でも、スイーツに合うようにブレンドされたカジュアル緑茶は、とてもやわらかく、ふくよか。一緒にいただいたチョコレートの味が、より深く、引き立つ。「スイーツに合う緑茶」というもののイメージを、試飲して初めて理解できました。

私の周りには「コーヒーは苦手」という方がたくさんいますし、私自身も、最近、コーヒーの刺激が強く感じられるようになっていて、「スイーツにもあう、おいしくて健康的な緑茶」という選択肢が増えるのはうれしい。静岡のお茶が新しいスタイルで全国に広がることを期待しつつ、まずは、地元静岡の人に、ブレンド水出し緑茶を体験していただきたいと思いました。

・新感覚ブレンド緑茶サイト「ちゃらいふ緑茶」
 http://chalife.net 





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海野 尚史 HISASHI UNNO

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