2011年の1月も今日で終わり。明日から2月。
新年になって1ヶ月を過ぎたこの時期に毎年思うのですが、新年になったからと言って何かが急に変わることはなく、今年もいつもの日常と地続きの毎日が繰り返される、という至極あたりまえのこと。…といいつつ、1月の手帳を振り返ってみる。例年より目立っていることといえば、この1ヶ月の間に映画を5本観ていることか。

まずは、1月4日に観た『シングルマン』。グッチやサンローラン、そして自身のブランドのクリエイティブ・ディレクターだったトム・フォード初監督の作品。内容はともあれ、主人公の暮らす家やインテリア、小物、そして登場人物たちの衣装をはじめ、彼のセンスと映像の美しさが目を惹いた映画。それだけでも観ておいてよかった。

翌週にスウェーデンの作家スティーグ・ラーソン原作のミステリ映画『ミレニアム2』。第3週に『ハーブ&ドロシー』と『ソーシャル・ネットワーク』の2本を観て、この週末には『クロッシング』を観てきた。『リトル・ランボーズ』は見逃したものの、こうして振り返ってみてみると、1月は珍しく毎週映画を観ている。『ソーシャル・ネットワーク』以外は、すべて静岡の「シネ・ギャラリー」さん。シネ・ギャラリーさんは、eしずおかブログでスタッフブログも書いてくれています。映画以外では、曽我部恵一のライブを聴いた。

今年は「生で見る」機会を増やそうと思っているのだけど、この点では、幸先のいいスタートが切れたかな。2月は、ウディ・アレンの『人生万歳!』や熊切和嘉監督の『海炭市情景』あたりも楽しみ。

「いつもの日常と地続きの毎日」とはいっても、ハーブとドロシー夫妻のように振り返ってみると孤高の地点にたどり着いている毎日もあれば、「クロッシング」に登場するる3人の警察官たちのように、どこかでボタンを掛け違え、ありがたくない日常に迷い込んでしまうこともある。

一方で『ソーシャル・ネットワーク』のマーク・ザッカーバーグみたいに、ジェットコースターのような毎日を送っている若者たちも登場している(らしい)。マーク・ザッカーバーグは、これからどこへと向かうのでしょうね……。今月は映画の中でいろいろな人生を観ましたが、人生の最後の1日を描いた映画「シングルマン」の登場人物ではありませんが、結局は今を生きることがやっぱり大切…というところに落ち着くのでしょうか。




今日は『womo』2月号の発行日。
2月号では「静岡・浜松女子の美人な習慣」という特集を組んでいます。
わたしを変えるおけいこ情報「習い事特集」も紹介しています。

2011年を迎えたという気分もつかのま…、来週から2月。
毎年1月が過ぎてゆくのは本当に早いですね。

この正月に読んだ橘曙覧の『独楽吟』から。

クリントン元大統領がスピーチで引用して話題となった一首

 「たのしみは 朝おきいでて昨日まで 無(なか)りし花の 咲ける見る時」

そして、わたしが気に入っているのがこの一首。

 「たのしみは 昼寝せしまに庭ぬらし ふりたる雨を さめてしる時」

今年は、こんな気分を味わえる一年にしたいですね。
…といいつつ、例年のように、初心は忘れるためにある?




楽しみにしていたドキュメンタリー映画『ハーブ&ドロシー』を、「Shizubi シネマアワー」@静岡市美術館で観てきました。80名定員のところ130名以上も集まり、会場は大盛況。

内容は、生活の合間に、趣味でお気に入りのアート作品を買い集め、いつの間にか世界屈指の現代アートコレクターになっていた、 ニューヨークに暮らす元郵便局員のハーブと元図書館司書のドロシー夫妻の実話。
「自分たちの収入内で買える作品であること」「1LDKの小さなアパートに収まるサイズであること」というとてもシンプルな基準で、ふたりは40年以上かけて4000点以上ものアート作品をコレクションしてしまう。そして、買った作品は絶対に売らない。ふたりにとって芸術は投資の対象ではなく、経済でもなく、純粋に好きだから、気に入ったから、側に置いておきたいもの。壁にかけて、見ることができなくてもかまわない。

「本だって全部を毎日読んでないけど、本棚にしまっておくでしょ。いつも全部を見る必要はないわ。いつでもそこにあって見られることが大切なの」とドロシー。80代後半になり、有名人にもなった夫妻ですが、きっとこれまでの数十年の暮らしとちっとも変わらない日常を送るのではないかな。

この映画について「温かい気持ちになった」「信念を持って生きるっていい」などなど、いろいろな感想が聞かれます。わたしの場合は「普通の生活でも、こんなに自由に生きられるんだ」と、あらためて気づかされた思いです。わたしたちは何かをやろうとする際に、大志を抱いて一念発起しなくては…とか、ビジネス書や自己啓発本などを読んでまずは計画をたてなきゃ…などと思いがちですが、二人を見ていると、多少のユーモアと情熱があれば、何かを成し遂げられるし、普通の暮らしでも、十分に人生を楽しくできるんじゃないか、ということを教えられた気がします。

一方で、誰もが求める、旅行や快適な家などの、いわゆる豊かな暮らしには近づこうとしなかった。自分たちに必要のないものは、とことん削ぎ落として暮らしてきた、そこにこそふたりの特異さが際立ってみえる。

散歩するようにアーチストを訪ね、ささやかな予算で気に入った作品を買い集めるハーブを見ながら、同じく散歩好きで幅広いコレクターだった植草甚一氏を思い出しました。

映画『ハーブ&ドロシー』は、22日から静岡シネギャラリーで上映されています。




月曜日に、毎号「womo」表紙の素敵なイラストを描いてくれているイラストレーター米澤よう子さんを訪問。年始のご挨拶。

昨年12月に出版された、パリ女性たちのシンプルでセンスのいいおしゃれをお金をかけずに楽しむ術を描いた本『パリ流おしゃれアレンジ!2- 大人可愛く着こなす41の魔法』(メディアファクトリー)は、1冊目の発行から一年も経っていなかった。きっと評判がよかったのでしょう…とこのブログにも書きましたが、ご本人に直接聞いたところ、2冊あわせて10万部以上も売れているのだそうです。

多くの書籍が、初版3〜4000部ほどからスタートする中で、 これほど多くの女性が求めていたことに驚きました。米澤さん自身も、「パリの女性たちのように、少ない予算でも、自分らしく、スマート&シンプルに着こなす術」がこれほど受け入れられたのは、今の東京の女性たちに、ファッションという一面だけでなく、その考え方が支持されているのかもしれないというお話をされていました。

本書は、4年間のパリ滞在時に東京とパリを行き来しながら米澤さんが気づいた「おしゃれ&おしゃれの思考法を、米澤さんのイラストとテキストで紹介しています。

「普通なのにおしゃれ」「すっきりシックで、スマート&シンプル」なパリジェンヌの着こなしを観察して、図解している。日本のOLさんより平均所得も少ないのに、お金ではなく時間を使ったおしゃれで、自然体に生活を楽しんでいるパリジェンヌの着こなし術が、デフレ日本の女性たちに受け入れられたということでしょうか。米澤さん曰く「3年前だったら、これほど売れなかったと思いますよ。この3年間で世の中が変わったのでは」。

米澤さんのお話で印象的だったのは、大切なことは、ファッションは、その人の生き方であり考え方、価値観の表現であるという言葉。ファッションは、あくまで生活の一部。おしゃれは、お金ではなく、使った時間の結果。中身を磨けば、センスはアップする。映画や音楽、読書、旅行、ひとりでカフェで過ごす時間etc…すべてがおしゃれに通じるわけですね。そこは、女性も男性も違わないはず。まずは、時間の使い方から見直す必要がありそうです。

今年も「womo」表紙で、どんな女性に出会えるのか楽しみです。




浜松アクトシティで開催した「womoウェディングカフェ」に、
ご結婚を予定されている、多くのカップルのみなさんが参加してくれました。
とても寒い一日でしたが、会場内は温かな幸せムードで包まれていました。
お忙しい中来場いただき、ありがとうございます。

「womoウェディングカフェ」は、式場やエンゲージリング・マリッジリング、
引き出物などの情報をまとめて集められるほか、エステやネイル体験、カラー診断、
ウェディングドレスの試着などが気軽に体験できるイベントとして、
毎回多くのカップルのみなさんに喜んでいただいています。

1月30日には、静岡市のホテルセンチュリー静岡でも開催します。
中部地区のカップルのみなさまも、
ぜひ「womoウェディングカフェ」にお越し下さい。

追記:「womoウェディングカフェ」に出展いただいたお客さまが
さっそくブログで、とても詳しく紹介してくれています。
素敵な写真で、会場の雰囲気もよく伝わると思います。
ありがとうございます。

・「サロン ド ブランジュール」様のブログ
http://salondeblancjour.hamazo.tv/e2813791.html




マイナビ就職セミナーに多くの学生のみなさんが参加してくれました。ありがとうございます。
今日は、入社2年目の先輩社員(風間千裕)とわたしの2名で、しずおかオンライングループについて説明させていただきましたが、時間も限られていましたので、みなさんが知りたかった内容の、ほんの少ししか伝えられなかったことと思います。

会場でお伝えしましたが、2月14日に会社説明会(会場/静岡市産学交流センター)を開催しますので、ぜひこちらにもご参加ください。

会社説明会では、各部署の先輩社員やグループ会社SOLアイアーキテクトの山本社長も参加して、具体的な仕事の内容、私たちの仕事の魅力や、やりがい、同時に、それぞれの苦労なども、率直にお話しする予定です。当日は、わたしも参加しますので、会場でみなさんとお会いできることを楽しみにしています。

しずおかオンラインの採用情報
http://www.esz.co.jp/recruit/outline.html




仕事の帰りに、伝馬町の宝泰寺客殿で行われた「曽我部恵一前野健太の二人によるアコースティックライブ」を聴きにでかけた。 2011年の初ライブ。「生で観る」の1回目。Ust中継もよかったけど、さすがにライブはいい。それに、宝泰寺の大広間で演奏する彼らの背景には、お寺の庭が見える。畳の間で生ギター一本で歌う曽我部恵一のライブは、ほとんどマイクも通さず、微妙な声音までダイレクトに聞こえるほどの身近な距離で、とても贅沢な時間でした。

新春から、ぼくの好きな「愛のかけら」や「おとなになんかならないで」を生で聴けるとは。「おとなになんかならないで」は、長女が生まれたときに作った歌なんだ、と話していた。ガールフレンドにむけた歌ではなくて、子守唄だったのか。本当に大切に、ささやくように歌っていた。

新曲「がるそん」も初演奏。これは、今日の昼、曽我部恵一が静岡市役所裏のカレーの店「がるそん」でカレーを食べながら作ったのだそう。できたてほやほやの歌。「がるそん」のお店の方も、聞いたら喜ぶだろうな。

180名ほどのお客で賑わったライブの会場に、スーツ姿は、一緒に出かけたK君とわたし、それに少し若い会社員らしき男性の3名ほどしか見かけなかった。スーツ族は、夜は何処へ。

2004年に大手レコード会社から独立してインディペンデントな活動を始めてからの、自然体(に見える)の曽我部恵一の姿がかっこよく見えていた。ぼくもまだまだ「見えないガラスの枠」に自分をあわせてしまうような「おとなになんかならないで」(笑)自然体でいこう…そんな思いになった夜でした。

曽我部恵一と前野健太の一週間』の静岡開催を実現してくれたサールナートホールさんに感謝。



仕事関係の本は、往々にして「興味はあるけど、自分に内容を理解できるかな」と思いつつ読み始めることになる。一方で、目的が「自分にない知識やスキルを学ぶ」「情報を得る」と、はっきりしていることが多いので、読後の手応えは白黒つけやすい。

問題は、これだけ世の中の変化が多様で、スピードが早いと、自分ひとりであれこれ手を付けても、中途半端で独りよがりな理解のまま、知ってる気分に落ち入りがちなことだ。

昨年秋口に出版された『コトラーのマーケティング3.0〜ソーシャル・メディア時代の新法則』(朝日新聞出版)を読まなくちゃ、と思いつつしばらく積ん読状態だったところに、暮れに約1年ぶりに出会ったN君から「『コトラーのマーケティング3.0』の勉強会をやろうと思っているんです」と聞いて、飛び入り参加させていただいた。まさに、渡りに船(笑)。

その第1回目が、今日の夜、開催された。参加者は3名。ファシリテーター役をお願いしたOさんのおかげで、期待以上に充実した勉強会になりました。内容の理解(もちろん、われわれ3名の勝手な解釈であって、コトラーさんの本意かどうかは保障なし)はもちろんですが、同じ言葉から受けとめるそれぞれの理解の違いに気づけたことも、今日の収穫。

もうひとつは、マーケティングを含むビジネス書の多くはアメリカの翻訳書が多いわけで、本来の言葉の持っている意味が、はたして日本語に訳した時に、日本人にきちんと伝わる言葉に置き換えられているのか、という疑問に自覚的になれたことも。

日常的に使っている「キャラクター」という言葉の受けとめ方さえも三者三様だった。「キャラクター」とは、ブランドのアイデンティを具現化したアイコン?個性?人格? 「インテグリティintegrity」にいたっては、言葉の定義さえ、なまなか上手く日本語化できなかった。

とはいえ、一人で読んでいたら、読みやすいところだけを読み進んで、都合良くわかった気になっていたことだろう。そして、難しところはスルーしてたんじゃないかな。間違いなく(笑)。約2時間ほどの勉強会で読み進んだのは70ページほどでしたが、なかなか新鮮で充実した時間でした。

終了後のささやかな新年会で、「こむずかしい話題ができる場がほしかった(笑)」とN君が喜んでいたのもよかった。



SKMTSocial

週末は、坂本龍一のソウル公演「Playing the Piano」を、自宅にいながらUST中継で楽しませていただいた。今回の坂本龍一のソウル公演は、ライブ「Playing the Piano」の無料UST中継と、新しいスタイルでのパブリックヴューイングのトラアル、同ライブのiTunesでの最短配信…なども含めて「SKMTSocial」という実験的なプロジェクトでした。

日頃、よく読ませていただいているこの人あの人のブログでも「SKMTSocial」を取り上げていた。ライブで演奏中の音楽が世界中に配信され、世界のあちこちの約2万人が、UST中継を同時視聴していたようです。

ライブ映像とその隣に流れるツイッターのつぶやきを眺めている時の感覚は、身近な人とワイワイいいながらテレビで紅白を眺めている時のような、お茶の間の感覚を疑似体験していかのようでした。「SKMTSocial」のつぶやきをみて、久しぶりにRTしてしまった夜でした(笑)。

音楽ビジネスが、CDなどのパッケージビジネスからネットでの音楽配信ビジネスに移行したのもつかの間。一昨年あたりは、マドンナなどが音楽配信からライブビジネスへ収益源を移している、といった話題もありましたが、今回の坂本龍一の「SKMTSocial」プロジェクトでは、ライブを会場では有料、ネットでは無料公開しながらその場でネット購入を実現していました。

2011年は、コンテンツビジネスでもいろいろな展開がありそうですね。それにしても想像以上に高画質・高音質で、UST中継の進化にも驚きました。




成人式の今日は、浜松のアクトシティで開催された「マイコミ就職セミナー」に参加。103名の就活中の学生さんとお会いした。忙しい中、また会場に多くの地元企業が出展している中で、しずおかオンラインの会社説明を聞いてくれたみなさん、ありがとうございました。

1回約30分の会社説明を、全部で6回実施。出版社として創業したしずおかオンラインが、現在は地域情報の流通事業を通じて、地域のみなさまが求める情報を、求められるカタチで提供することに取り組んでいること、などをお話しさせていただきました。

ここ数年、毎年就職セミナーに参加させていただいているのですが、今日のセミナーで印象的だったのは、6回の会社説明を通じて、挙手して質問をした学生さんがひとりもいなかったこと(説明会の後に、個別に質問をした学生さんは数人いましたが)。

メディアなどで「最近の若者は大人しい」とか「内向き」という取り上げ方をする記事を目にすることがありますから、今日のセミナーでも「やっぱり、記事に書いてあった通り」と受け止めてしまうのは簡単ですが、今振り返ってみれば、学生さんに語るこちら側が、学生さんに届く言葉で語れていなかったのでは、という思いが強い。

自分たちは毎年、同じ場所で就活生に、同じような話をしている。同じ就活生なのだからと、自分たちの使い慣れた言葉で、会社の話や業界の話をしてしまう。実は、それこそが思考停止ではないか。参加している学生さんは、毎年確実に違っている。しずおかオンラインの社員は、情報の発し手と受け手をつなぐ「情報コーディネーターです」という話もさせていただいたのですが、今日は私自身の情報コーディネート力が足りなかったと思います。反省。

来月2月14日には、しずおかオンライン単独での会社説明会を予定しています。そのときには、学生のみなさんにしっかりと届く言葉で語りますので、ぜひご参加ください。お待ちしています。




2010年は「電子書籍元年」ということを、昨年後半あたりから出版業界界隈で聞くことが増えた。出版関係の方でなくても、ガジェット好きの方などは、耳にしたことがあるのではないでしょうか。1月4日に配信されたTBSの文化系トークラジオの「文化系大忘年会2010」part7(外伝2/2010年12月26日放送)をポッドキャストで聞いていたところ、ここでも「そろそろこれからの電子書籍の話をしよう」ということで、電子書籍にまつわる話題で盛り上がっていた。

現在(紙)の出版市場は、おおよそ2兆円。書籍と雑誌市場で、それぞれ約1兆円といわれている。一方、ケータイ小説やケータイコミックを含めて、電子書籍市場は約500億円といったところ。紙の出版市場(特に、雑誌ですね)が縮小するなかで、「電子書籍元年」という言葉からは、電子書籍市場への期待の大きさ(実際の市場はまだまだ小さいのですが)が感じられる。

6日に始まった米家電見本市でも、パナソニックやモトローラ、シャープ、サムスン等のタブレット端末が話題のようですが、現場におけるビジネススキームやマネタイズの議論があいまいなまま、デバイスの普及と電子書籍市場の成長が、あたかも、たしかなもののように結びつけている雰囲気が感じられます。

文化系大忘年会2010」part7(外伝2)では、津田大介氏の「つくられた電子書籍ブームの現状とデータ」であったり、仲俣暁生氏による「電子書籍ブームが出てきた3つの理由」「電子書籍というよりは広告ビジネス」「出版社がGoogleから学んだこと」など、現状の「電子書籍」をとりまく状況を棚卸しした視点から語っていて興味深い。誰の視点で語るのか(読み手か、コンテンツの創り手か、プラットフォーマーか、IT系システム開発会社かetc…)によっても見方は変わるし、コンテンツの創り手という視点でも、すでに紙の出版での実績のある書き手と、これから書き手を目指す人かにによっても違う。

日経BP社の柳瀬博一氏の「アマゾンは、流通ソリューションの改善」「キンドルは、通販ソリューションの発展型であり、ユーザーにとってはバリアフリー商材」であったり「電子端末で読むことの身体的ハードル」、なかでも「コンテンツ電子化の大きなメリットはデータベース活用であり、一番の受益者は、書き手や学者、学生、企画立案者などコンテンツの創り手である。創り手視点に立ったとき、インターフェースやビジネスモデルは、ガジェットのカタチは、現在の電子書籍にとらわれない新しいエディションが必要ではないか」という視点は新鮮。

電子書籍の新しい潮流の話に片寄りがちな中で、電子タバコを書籍のパッケージにして既存の書店流通網に流通させて、200万部を販売したという、宝島社の電子書籍と真逆の取り組みも目から鱗でした。静岡県内の書店流通、コンビニ流通サービスを行なっている弊社にとっても、宝島社のチャレンジはたのもしい事例。

2011年は、どんなカタチにせよ電子書籍という新しい潮流がさらに大きな波となることは間違いありません。新しいプレーヤーが登場し、編集者の役割も新しい役割とスキルが求められる。弊社もK-MIXさんと一緒に作った『静岡ジモトリップ』の電子版を昨年12月にリリースしました。大切なことは、どんなに出版のカタチが変わっても、ユーザー視点を忘れないことですね。



「本」の福袋



元日にボイジャーからメールで届いたのが、本の福袋。

「VOYAGER STOREからの福袋 無料で読める13のタイトル
“売ってなんぼ”のVOYAGER STOREではありますが、お正月くらいは“お金を気にせ
ず”電子書籍の楽しさを知っていただきたい!
そこで、VOYAGER STOREで入手可能な無料のタイトルをドーンとご紹介します!」


ということで、さっそく昨年オープンした電子書籍のショッピングモール「ボイジャーストア」にアクセスして、7冊をダウンロードさせていただいた。

極端に短いインターネットの歴史』(浜野保樹、ボイジャー)、『小さなメディアの必要』(津野海太郎、ボイジャー)、『ひらめきのマジック』(さいとうぜんきゅう、ボイジャー)、『電撃コミック ジャパン 創刊号』(電撃コミック ジャパン編集部、アスキー・メディアワークス)、『幕末三姉妹(0)』(藤井青銅、ニッポン放送)、『電撃ホビーマガジンbis』(電撃ホビーマガジン編集部、アスキー・メディアワークス)、『MANDA-LA創刊フリー版』(村山茂樹、有限会社眺)の7冊、締めて0円。

現在絶版で、アマゾンの中古本では3500円もしている津野海太郎の『小さなメディアの必要』(晶文社版)が、コンテンツの一部であっても無料で、しかも自宅にいながらカンタンに手に入るのは、まさにお年玉をもらった気分だ。「科学と歴史で時代を眺める」コラムマガジンという「MANDA-LA創刊号」も、興味がひかれる。

中には、リアル書店では、有料では、たぶん買わないだろうという本(「ひらめきのマジック」や「電撃ホビーマガジン」、「幕末三姉妹」あたりかな)もありますが、紙版に加えて電子書籍版ならではのおまけコンテンツや編集がされている本もあるようで、ボイジャーさんのお言葉に甘えて、クリックさせていただいた。

こんな太っ腹な福袋を用意できるのも、電子書籍、電子書店ならではですね。



生で観る

ここ数年意識していることが、「生で観る」こと。音楽、講演、展示会etc、映画であればDVDではなく、映画館で観る。ユーチューブやポッドキャスト、音楽のダウンロードも便利だけど、デジタル体験が増えるほど、生で観たいという思いは高まるように思います。

2010年を振り返ってみると、思いのほか出かけている一年だった。
映画は17本、音楽は、林美智子リサイタル@AOI、高橋アキ・ハイパービートルズ@AOI、オペラ「カルメン」@AOI、沖仁@青山草月ホール、朝霧ジャム、井上陽水@アクトシティ、スタンリー・クラーク&上原ひろみ@静岡市民文化会館、akiko@Billboard、文学では、開高健の世界展@県立神奈川近代文学館、アートでは、マン・レイ展@国立新美術館、「極東ホテル」を出版したばかりの鷲尾和彦写真展とトークライブ。その他にも、港千尋&堀江敏幸対談@青山ブックセンター、都築響一「HEAVEN」刊行記念トークショー@青山ブックセンター、木村友紀「無題」@IZU PHOTO MUSEUM、ピーター・バラカン×池谷裕二「脳が感動するとき」@静岡市美術館 etc…。

トークショーでは、「HEAVEN」刊行記念トークショーで都築響一の編集魂が伝わってくる話が印象的だった。 木村友紀「無題」展では、対談相手の作家多和田葉子氏とお話しできたことが記憶に新しい。堀江敏幸氏との対談ではじめてお話を聞いた港千尋氏からも、写真の新しい見方を教えていただいた。

音楽では、「ムルシア”ニーニョ・リカルド”フラメンコギター・コンクール」で優勝したばかりの沖仁のコンサートが良かった。それから、誕生日のお祝いをしていただいたakiko@Billboardでは、ステージ正面でakikoさんの素晴らしい歌を楽しんだ。思い出に残る50歳の誕生日となりました。

でかけるまではきまって「めんどうだな」とか思いがちなのですが、いってみれば「やっぱり来てよかった」と思うのが常。今年も、自分で自分の背中を押して、たくさんの「生で観る」機会をもちたいと思います。



あけまして、おめでとうございます。

今朝は、大井川の河口にでかけて、初日の出を拝んできました。
朝日の昇る左手の水平線上に伊豆半島が、そのさらに左手に美しい富士山がよく見えました。

今年は、ゼロ年代から10年代に入り、自分自身も50代となりました。
いまになってみると、ゼロ年代の10年間は、これから始まる本質的に新しい21世紀へのつなぎの10年だったように感じられます。どんな時代がやってくるのか、私たちがどんな社会を選択するのか、実現できるのか、いまは、とてもわくわくしています。

個人的には、10年ごとに節目を迎えてきました。
90年代初めに小さな出版社を立ち上げ、ゼロ年代の最初の年に出版に加えてフリーマガジン・インターネットなどのメディアも扱う会社をスタートしました。自分が求めたことで、できたこと、できないこと、いろいろありますが、スタッフやパートナーさんにも恵まれ、総じてみれば及第点はとれたのではないでしょうか(年始から自分に甘い・笑)。

そして、10年代が始まる今もまた、新しいコトをはじめてみたい…そんな時期を迎えている気がしています。これからの10年代、自分自身の50代になにができるか、とても楽しみです。
そのためにも、2011年を素晴らしい一年にしたいと思っています。
本年も、どうぞよろしくお願いします。



海野 尚史 HISASHI UNNO

アーカイブ