金曜日の夜といえば、人それぞれに楽しみがあるのだと思いますが、
最近のわたしといえば、昨年秋から朝日新聞の夕刊に連載が始まった
野村萬斎のコラムを読むことが金曜の夜のささやかな楽しみのひとつ。

800字にも満たないコラムですが、自身の身辺雑記にからめながら、
毎回狂言世界についての親しみやすい紹介文となっている。
狂言についてはまったく知識のないわたしでも楽しめる。

昨日は、狂言の舞台で履く「狂言足袋」について書いていた。
なぜ狂言足袋は黄色く見えるのか、の紹介に続いて、足元のお洒落の話に。
「私服では、靴や靴下の色を服の色とリンクさせる。赤い靴下を目立たせるのが流行した時期があるが、私なら首にも赤いスカーフを巻いて、統一感をもたせただろう」
という一文を読んで、赤いスカーフに赤い靴下をはいた野村萬斎を、勝手に想像してみたりする。まぁ、彼だから成立するおしゃれ…?

もうひとつ楽しみにしているコラムが、やはり朝日夕刊に連載中の
川上未映子の『おめかしの引力』。こちらは、川上未映子さんのファッション談義。
彼女のおしゃれにまつわる日常を、大阪弁のまじったテンポのいい文章で楽しく読ませてくれる。ミュージシャン、女優、 文筆家、小説家、詩人など、多才で美人な彼女と、コラムの中で紹介される関西ノリの庶民感覚いっぱいの30代女性としての彼女のギャップが新鮮。

『すごくいいもの』を着るとそれ以外見えなくなる魔法というのがあって、これが大いに問題なのだ。さらに剣呑(けんのん)なのは悪魔のささやき『ザ・日割り計算』で『一生着るんだから1回につきこれくらい、と思えば安いんやないの』という恐ろしい錯覚なのだった」という、川上未映子の『 ハイブランドの幻惑』には笑った。

主題にだけ集中し、他のことは省略する狂言で重要な小道具となる「扇」についてとりあげた野村萬斎の『エコなトランクシアター』は、ネットに動画付きでアップされている。

きょう.げん.き!!』とは、野村萬斎氏のコラムのタイトル。
「朝ドラ」「月9」「韓流」ドラマを見て、その日、その週の元気をもらう方も多いと思う。会社には、週1回のラジオ出演が毎週の楽しみ、という社員もいる。私の場合は、わずか800字ほどの「連載コラム」が「今日、元気」の源となっている。

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