昨日のブログに書いた、ポテトサラダを食べに鹿児島まで出かけたときの話の続きです。そのお店「からあげ松幸」の暖簾をくぐったのは夕方5時すぎ。鹿児島はまだまだ明るく、店内には、ほかに誰もお客はいませんでした。ポテトサラダと手羽先のからあげをつまみにして、屋久島の焼酎「三岳」を飲みながら、「観光で、はじめて鹿児島にきました」とカウンター越しにご主人に話すと、だったらこんな本がありますよと、2冊の本を持ってきてくれました。

 一冊は鹿児島の温泉のガイドブック、そしてもう一冊が、例の岡本仁の『ぼくの鹿児島案内。』。多くの人の手にとられたとみえ、ずいぶんと年季のはいった『ぼくの鹿児島案内。』のページをめくりながら、「ぼくと同じような人は、世間に数限りなくいるもんだなぁ…」などと少し酔った頭で感心していると、「この本を書いた岡本さんはね、風体は山下清にそっくりなんですよ。とても文章を書くような人にはみえません」とご主人。「でも、最近は、このように主観的に書かれたものが読まれているようですね」と、気になることばが…。

 「温泉は、このちかくの銭湯で十分ですよ。鹿児島は、どこの銭湯も温泉だからね」、そして「岡本さんの本に紹介されているところは、岡本さんだからわかる良さがあるわけで、誰にでも楽しめる、というものじゃないんじゃないですか…」。ゆっくりと、そして朴訥と話すその中身にうなってしまいました。その後も、ご主人が小学生の時に遠足で桜島に登ったときのお話や、鹿児島ラーメン談、温泉なら指宿(いぶすき)の砂蒸し温泉だね…など、ご主人セレクトの「ぼくの鹿児島案内。」を、楽しく聞かせていただきました。ホテルへの帰り道、「岡本さんだからわかる良さ…」というご主人の言葉を反芻しながら、自分のおすすめを人に伝えることの難しさを実感した夜でもありました。

 こちらは鹿児島二日目の夜にでかけた薩摩料理とおでんの店「味の四季」。里芋の田楽も、黒豚串焼きも、もちろんおでんも、とにかくどれも素材の味がひきたっていておいしい。さつま揚げは必食です。
「松幸」さんの「ぼくの鹿児島案内。」



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「松幸」さんの「ぼくの鹿児島案内。」


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