空き家や空きビルに本体の目的とは違った用途を見出して、専門家ではない住まい手が自分なりの空間に仕立て直す。そんな空間資源の再編集が、建築を社会に開いていく。ハウスメーカーや大工工務店が生まれる近代以前の住宅から、現代に至るまでの流れを民主化というキーワードで語る『ひらかれる建築』(松村秀一、ちくま新書)は、箱としての住宅が、ようやく豊かさを実感できる暮らしの場として認識されつつあることに気づかせてくれます。写真は、昨年の暮れに出かけた、都立小金井公園の野外博物館「江戸東京たてもの園」の前川國男邸。解放感あふれる二層吹き抜けのリビングに差し込む光に心がひらかれます。

『ひらかれる建築』(松村秀一、ちくま新書)。




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海野 尚史 HISASHI UNNO

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