先週の水曜日に開催された追手町ネットカフェ。5月のテーマは、最近話題の「電子書籍」。iAのウェブデザイナーI君が「電子書籍」について、とてもわかりやすく講義してくれました。I君、おつかれさまでした。

予約開始数日で予定の供給量を超えたアップルのタブレットiPadや、日本仕様の販売が待たれているアマゾン・キンドルをはじめ、今は電子書籍を読むためのデバイスが話題の中心という気もしますが、参加メンバーからは、「過去にもいくつかの電子書籍を読むためのデバイス(シャープ「ザウルス文庫」、パナソニック「ΣBook」など)があったのに、なぜ今回はこんなに盛り上がっているのか」という、なかなか鋭い質問もありました。

「電子書籍」が利用者に受け入れられるためには、

・読みたい本が豊富に揃っている、と同時に、
 自分の興味関心に応えてくれそうな良い本との出会いが期待できそう。
・読みやすさと使いやすさ。いつでもどこでも自然体で読め、
 難しい操作なしで誰でも感覚的に利用できる。
・本の購入費、蔵書の維持管理費が安い。

などが期待されていると思います。

また、購入した自分の蔵書を、いつでもカンタンに探し出せることや、電子上の書棚に美しく収納しておきたい、読んだ本についての感想を誰かと共有したい、というニーズなどもあるのではないでしょうか。

それらを実現するためには、コンテンツとしての電子書籍、ハードとしてのデバイス、本の購読・管理システムが、全体としてひとつのプラットフォームとしてシームレスに機能することが不可欠。

さらには、そのプラットフォーム上に、新しい出版システムや、広告配信機能、ソーシャルネットワーク的な機能なども重ねられていくと考えられます。

いずれにしても出版社や流通業者・団体、デバイスメーカーの都合ではなく、
「これは便利」「使いやすい」「この価格ならまた買いたい」など、
利用者自身が今回の「電子書籍」ブーム?が定着するかどうかを決めていく。

「書棚から溢れている本は、さっさと処分したら」と奥さんから冷たく言い放たれ、「この本は、あそこにもあったよ」とうっかり同じ本を購入してしまい、娘に見抜かれバツの悪い思いをしたり…、わたしにとっての「電子書籍」は、そのあたりの問題を解決する手段のひとつとして福音になるかもしれない。

追手町ネットカフェは、今年から始まったネット関連情報・知識の共有を目的とした自主勉強会。毎月ウェブ制作会社iAのスタッフが交替で講師役を務めて開催しているのですが、もうひとつの目的に「スタッフが講師役を勤めることで自ら学ぶ」ということがあります。

「ネットは知恵を預けると利子をつけて返してくれる銀行」と、株式会社はてな代表の近藤淳也氏が自著『へんな会社のつくり方』の中で書いています。追手町ネットカフェも講師役が参加者に「知恵を預ける」と同時に、多くの「利子」を返してもらえるような場になるのではないかと期待しています。

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