ワイアード日本版の初代編集長であり、株式会社インフォバーンの会長兼月刊誌「サイゾー」の発行人だった小林弘人氏が、11月30日付けの自身のブログ「Media to the People〜個にメディアを」の中で、
12月1日で発行人を降りるとともに、新たに別会社として株式会社サイゾーとして独立・分離し、「サイゾー」を含めてすべての紙の出版事業を譲渡する、と報告しています。……▼小林氏は、2004年のインタビュー(『〈ことば〉の仕事』著:仲俣暁生、発行:原書房))の中で

「出版社はなぜ、出版以外のビジネスをやらないんだろうって、前から不思議だった。でも、そういうことを出版社の人にいうとすごく怒られたり、何をいっているのか理解してもらえなかったりする。でも、出版社の事業ドメインは、出版じゃなくてもいいんじゃないか。インフォバーンの場合、以前は紙の割合が多かったけれど、いまは紙が3割、ウェブが7割で、最近は市場調査やコンサルテーション…などの仕事がすごく増えている」

と答えている。

日経ビジネスオンラインでの連載しているコラム「小林弘人の誰でもメディア宣言」からも、「紙ではない出版」に関心が移っていることが伝わってきます。

「いままでぼくらがやってきたのは、雑誌という媒体を変えようとすることだった…。次にやろうとしているのは、出版というインフラを変えること。土木工事みたいに見えにくい話だけど、気がついたらガラッと風景が変わっている、みたいになればいいと思う」

総合的なパブリッシング・サービスの会社として、小林氏がインフォバーンをどう舵取りしていくのか、注目ですね。

「サイゾー」の編集長を辞めたのが2001年ですし、今回「サイゾー」の発行人を降りることや別会社へ譲渡しても、スタッフ陣にもスポンサーサイドにも大きな影響はないと思いますが、

それより何より驚いているのは
「何をいっているのか理解してもらえなかった出版社」の方々
ではないでしょうか。
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