いよいよ(といいますか最後の最後に)文筆業の世界にも「2.0」の波が押し寄せてきたようです。
「Page2008」の基調講演でパネラーとして登場した
作家大村あつしさんが
作家2.0と名乗り始めたのがきっかけのようです。
実は今回「Page2008」に出かけたもうひとつの目的が、大村さんにお会いすることでした。
昨年出版した著書
『エブリリトルシング』(ゴマブックス)が20万部を超えるベストセラーになった大村さんは、静岡県出身。
作家に転身する前、地元静岡県でITライター兼企業経営者として活躍されていたころに何度かお話しする機会がありました。……▼「はてなダイアリー」のキーワード解説によると
作家2.0とは作家とライター業の「1+1」で「作家2.0」と説明していますが、会場で大村さんにお話を伺った際にはそれに加えて、読者やユーザーの感想や反応を作品作りに積極的に組み込んでいく、いわゆるユーザー参加型小説を書く作家、というような意味も含ませているようでした。
2007年度の文芸書の売上は、1位「恋空」2位「赤い糸」3位「君空」4位「一瞬の風になれ」5位「もしも君が。」
みなさんはこのうち何冊を読みましたか?
実は4位の「一瞬の風になれ」以外は、すべてケータイ小説。
ケータイ小説の元祖とも呼ばれる「Deep Love」の著者Yoshi氏が以前取材の中で
「配信のたびに反応をきちんと見ている」
「コメントの内容だけでなく配信後の閲覧率の動向によって書き方、言葉遣いを変えている」
というようなことをいっていましたが、読者の反応を作品作りの不可欠な要素として活かしていく点でケータイ小説家こそ「作家2.0」を体現しているといえるかもしれません。
自分の世界観で作品を完結させる従来の作家においても、担当編集者などの意見を聞きつつ作品作りをしているわけですが、ケータイ小説家になると、作品の骨格までも読者ニーズにあわせていく、いわゆるマーケティング的な産物に近いのかもしれません。
アウトプットは異なりますが、口コミを巻き込みながら盛り上げていく参加型イベント体験に近い?
大村さんのこれからの活躍はもちろんのこと
「作家2.0」が今後どんな展開になるのか、楽しみです。