[映画]『宇宙へ』〜NASAの有人宇宙飛行史静岡ピカデリーZEROにて。9月11日に、種子島宇宙センターから飛び立った新型H-IIBロケットの打ち上げ成功に続き、9月18日午前には、宇宙ステーション補給機「HTV」も無事に国際宇宙ステーションへのドッキングに成功しました。よかった。
写真は、『宇宙へ』のポータルサイト sorae.jpより)

NASAのドキュメンタリー映画『宇宙へ』を先日見たばかりだったせいもあり、今回の日本のロケットの打ち上げには、いつになく注目してしまいました。

地上では政権交代が実現し、マニュフェストの実施にむけての取り組みが始まっていますが、新型H-IIBロケットと補給機「HTV」の成功は、ここ数週間の間に伝えられたどんな報道よりも、わたしたちに希望を与えてくれるできごとだったのではないかと思います。

「HTV」は、退役がせまる米スペースシャトルに替わって、国際宇宙ステーションへ食料や衣服などの必需品を運ぶ輸送機として存在感を示したわけですが、同時に、宇宙開発事業における日本の技術力に対する高い評価は、日本人としての誇り、などといった抽象的な成果ではなく、将来確実に成長するであろう宇宙産業界へ大きなインパクトを与え、日本の新たな成長戦略を描く上で大きく貢献したはずです。

『宇宙へ』は、NASAの有人宇宙飛行史を描いた映画。紹介されているのは、マーキュリー計画、ジェミニ計画、アポロ計画、スペースシャトル。ロケット開発の初期の頃は、打ち上げの5回に1回は失敗。まるでロシアンルーレットのようだったそう。打ち上げに失敗したロケットや、飛行士が乗り込んだまま船内火災で死亡事故が起きるなど、夢の実現と死が隣り合わせのミッションに挑む人々の姿を淡々と描いています。

スペースシャトル・チャレンジャーの爆発事故のニュースは、わたし自身も今でもよく覚えています。映画の中では爆発の瞬間の管制室内の唖然とする様子や、茫然自失する打ち上げ責任者の姿も映されています。しばらくして、すべての記録を取るように指示を出すスタッフの冷静な音声なども生々しい。

事故直後にテレビ演説を行なったレーガン元大統領が、広く国民にメッセージをおくるだけではなく、「この事故をテレビで見ていた子どもたちへ」と語りはじめた言葉が心をうちます。

事故はとても哀しいけれど、何かに挑戦し、新しい一歩を踏み出す時にリスクは避けられない。今回の事故も、新たな可能性を実現するための前進となった(決して無駄にはしない)…、というような話(ことばはかなり違っていると思いますが)を伝えていました。

日本であれば、まず最初に責任問題などが噴出し、計画そのものを白紙にしてしまうかもしれません。また、総理大臣が自らの言葉で子どもたちに向けてメッセージを届ける姿も見てみたいものです。

NASAギャラリー
http://www.nasa.gov/multimedia/imagegallery/index.html

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