2017年の前半が終わりました。今年上半期に観た映画を振り返ってみると、「マンチェスター・バイ・ザ・シー」「光」「たかが世界の終わり」「家族の肖像」「ホームレス ニューヨークと寝た男」「ナイスガイズ!」「皆さま、ごきげんよう」…。

中年(老年)男を主人公にした映画が多いのは、自分自身がそういう年齢だからというシンプルな理由から、だと思っています。ネット上の評判やレコメンドを積極的に参考にすることは少ないのでそう思うのですが、自分の意図しないところで、すでにそのような情報に取り囲まれているんだよ、と言われれば、そうかもしれません。自分の決定のどこまでが自分の意思によるものなのか…。見えない技術の進歩とともに、自分の輪郭が曖昧になっていくようです。

家族を失った男、視力を失いつつあるカメラマン、間近に死を迎えている劇作家、モデル兼カメラマンでありながらビルの屋上に暮らすホームレス、隠遁生活を送る大学教授…。中年男性の多くが似たような体験を持っていると考えられているためか、それとも物語として映画になりやすいためかはわかりませんが、主人公たちに共通しているのは、人生で大切な何かを欠落している、または、世間では当たり前のこと、大切なことといわれているものに目を背けて生きてきたこと。

人は自分の見たいものだけを見ようと努力しますが、ある時期を迎えると、そんな自分にコミットできなくなっている自分に気づきます。当たり前の大切なことを素直に受け入れられるようになるには、思いのほか時間がかかるもの。でも、そんな時に “歳をとるのも悪くない” と思う。そこから一歩踏み出すためには、自分に対する自分の態度を変えることが必要ですが、それはまた別の話。

「家族ができたと思えばよかった」と、いままでの自分の態度を悔やむ「家族の肖像」の老教授のつぶやく場面、「マンチェスター・バイ・ザ・シー」のエンディング、主人公のリーと甥のパトリックが、拾ったボールでキャッチボールしながら、これからのことを話す後ろ姿、それらの映像を思い出しながら、そんなことを考えました。

そのほか上半期に観た映画。「マイルス・デイヴィス 空白の5年間」「ノーマ東京 世界一のレストランが日本にやって来た」「メットガラ ドレスをまとった美術館」「ターシャ・テューダー 静かな水の物語」。

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見えない技術の進歩とともに、自分の輪郭が曖昧になっていく…。




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