劇画というジャンルを確立し、漫画界を変革した劇画家・辰巳ヨシヒロ氏のアニメドキュメンタリー映画「TATSUMI」の先行上映&別所哲也トークショー(
@静岡シネギャラリー)にでかけてきました。
おとな向けのストーリーをリアルなタッチで描くマンガを描き、それらのジャンルを「劇画」と名付けた辰巳ヨシヒロのことは、本作品を見るまで知らなかったのですが、海外では手塚治虫と並ぶほど知られているのだそうです。
劇画と聞いて誰もが頭に浮かべる作品は、「巨人の星」や「ゴルゴ13」「カムイ伝」などでしょうか。いずれの主人公も、一匹狼で完璧主義、体制に立ち向かう強さと正義感を持った人物像が魅力。ぼく自身の好みは、『ねじ式』のつげ義晴や『坊ちゃんの時代』の谷口ジロー、『百日紅』の杉浦日向子あたりの、どちらかといえば、世間の波荒に右往左往しながら、そのくせどこか飄々と生きている人物を描いた物語に魅かれる。
映画「TATSUMI」に登場する主人公たちは、日本の高度経済成長期に、浮かれる社会の片隅で豊かさとは無縁に暮らす、孤独と疎外感を抱えたものたち。監督は、シンガポールのエリック・クー。1人6役で各キャラクターのボイスキャストを務めているのは、俳優であり、ショートショートフィルムフェスティバルの主催者としても活躍している別所哲也さん。彼は、静岡県島田市出身ですね。
日米合作映画『クライシス2050』でハリウッドデビューした翌年の1991年に、新人の別所哲也さんにインタビューしたことがありますが、すっかりベテランになったいまも、当時と変わらず、ソフトで誠実な印象でした。
トークショー後に行われた合同取材では、別所哲也さんに、海外にも多くのファンを持つ辰巳作品の普遍的な魅力や、この時代に辰巳ヨシヒロの自伝的映画を上映することの意義などについて質問してみました。そのときの模様はあらためて記事にしてアップする予定です。
・映画「TATSUMI」先行上映&別所哲也トークショー@静岡シネギャラリー
http://www.cine-gallery.jp/cinema/2015/event/tatsumievent2015.html
・映画「TATSUMI」上映情報 期間:2/7(土)〜20(金)
http://www.cine-gallery.jp/cinema/2015/01/tatsumi.html