静岡経済研究所が2018年2月に実施した「静岡県民の人生観・価値観に関する調査」結果を踏まえた座談会「婚礼・介護・葬儀の各業界から見た生活価値観の変化」(主催:静岡経済研究所)が開催されました。人口減少や少子高齢化といった社会構造の変化にともない、仕事や家庭に対する価値観・サービス利用意識はどのように変化しているのか…。全国的な調査ではなく、静岡県内に絞った調査結果が気になるところです。

最近話題の、就労意識のベースとなるワークライフバランスに関連する「仕事よりプライベートが大切」という考え方については、世代別では20歳代から40歳代までの世代で平成初期よりも高まっていて、中でも20歳代では男性が76.9%、女性79.6%と最も高い。将来を担う若い世代(20歳代)の約8割が「プライベート重視」ということは、このような考え方がこれからの社会の主流になっていくと認識する必要がありそうです。「夫婦はともに経済的に自立すべき」「共働きなら家事や育児を公平に分担すべき」「夫婦でも互いの自由時間を尊重すべき」については、いずれも平成初期よりも高くなっていて、家庭でも“個”を尊重する意識が浸透していることが推察されます。

「結婚は幸せになることである」「介護は在宅で家族が担うのが自然」などは、平成初期から低下。そのような変化に対して「結婚式の必要を感じない人は、葬儀も行わないのではないか」「スマホに馴染んだ世代が要介護者の中心になる時、介護の現場は AIやロボットなど先端技術で支えていくことになる(すでにその準備を進めている)」など、葬儀・婚礼・介護の各業界の方々からコメントがありました。現状を憂う前に、将来を見据えて、すでに自社のサービスや事業内容の変革に向けて動き出している企業が地元に存在していることに、心強さを感じます。

生活価値観の変化という点では、今後の消費のかたちがどのように変化していくのか、が気になるところ。「モノよりコトにお金を使いたい」「所有するより使用することに価値がある」という考え方は、いずれも平成初期よりも大きく上昇。最近では、サブスクリプション型のサービスがカフェなどの飲食事業にも広がっています。体験による感動や、モノの使用価値を重視する傾向は、これから本格的に高まりそうです。中でも20代の意識の変化は、他の世代に比べて先行していることも調査の中で示されています。

地方で事業を行う際の判断材料は、丸まって報道される全国の統計では埋れていることが多い。また、自分の(年齢の)感覚にとらわれないことにも、気をつけなくては。

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若い世代ほど、生産者の顔の見える食、作り手との交流を含めた消費に
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