青山二郎の話

午後、吉田川沿いに悠木の森を目指して散歩。途中、梅の花がちょうど見頃。乗馬場まで歩いたところで肌寒くなってきたので、今日はそこまで。

青山二郎の話

「高等遊民になるにはどうしたらいいのか」と高一の娘が聞くので、人並み外れた知識と不自由のない経済基盤が必要になるよと話す。前者は自分の努力で身につけることはできるけど、後者についてはあなたの家では期待できない。早くに自分の力でなんらかの成功を収めることができれば、それらしき生き方はできるかもしれない、と答える。「ふ〜ん」という返事。

昨日から宇野千代の『青山二郎の話』(中公文庫)を読んでいる。白州正子や小林秀雄などの関連本に、青山二郎という名前はしばしば登場する。彼らの先生的な存在として、多くの影響を与えていたらしく、どんな人物なのか気になっていたが、断片でしかわからない。本人は作家でも評論家でもなく、いくつかの装丁画を描いたほかは、仕事らしい仕事にもついていなかったことにもよるのだろう。

青山二郎の周りには多くの文学仲間が集まっただけでなく、骨董における鑑識眼は天才的と評された。そして、青山から麻布にかけての大地主の家に生まれ、叔母はクーデンホーフ・カレルギー伯爵夫人光子という家柄。まさに高等遊民である。そんな青山二郎がどんな人生を歩んできたのか、生前の青山二郎と交流のあった宇野千代自身が、彼のつきあいのあった人物を訪ね、彼の日記から記したのが『青山二郎の話』である。

読めば読むほどに彼の振る舞いには驚かされるが、それは彼だけでなく徹底して非情で不徳な兄・民吉にしろ、オットセイ丸という怪しい薬を売っていた父・八郎衛門にしろ、青山一族はみな桁外れに変わった人間の寄り集まりだった。そのひとつひとつのエピソードが、とにかく常人の想像を超えていて面白い。それから、高等遊民として生きるということは、大きな孤独を抱えながら生きることでもあるらしい。

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タグ :青山二郎

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